仕事や学校などで話しやすい人と話しにくい人がいませんか?
または、あなたは相談とかよく聴く方ですか?
話しやすい、話しにくいの違いには、態度や姿勢が関係しているかもしれません。
人の話を聴くのにダメな例を紹介しますので、自分はどうなのか考えてみてください。
相手を見ないながら聴き
たとえば、親子の会話でこのような経験はないでしょうか。
「ねえ、お母さん」と話しかけて、お母さんは台所で調理中で「なあに」と返事はしてくれたけど、こっちを向いてくれなくて話を続けづらくなったことはないでしょうか。
また、家族や上司に相談をしていて、相手がテレビやパソコン、スマートフォンから目線を離さないので、話す気持ちがなくなってしまったことはないでしょうか。
視線を合わせるというしぐさにには、「あなたに関心を持っています」というメッセージが込められています。
視線を向けないということは、関心があまりないということになります。
話しかけて、相手が目線を向けないまま返事だけをされたら、「私の話を聴く気がないんだ」「私に関心がないのかも」という気持ちになります。
ちゃんと聴いているつもりになっていませんか
聴く側になって考えてみましょう。
目線を合わせなくても返事はしているし、ちゃんと聴いているから問題ないと考えていませんか。
むしろ、忙しいのに話を聴いている自分はエライと思っているかもしれません。
相手に「ちゃんと聞いてる?」と言われるようなら「聴いてるって!」と不機嫌になってしまう場合もあります。
こうなってしまっては、相手は何か話そう、相談しようという気持ちはどうなるでしょううか?
おそらく、相手はあなたに話や相談をあまりしなくなるでしょう。
いくら聴く気持ちがあっても、それが相手に伝わらないと、相手はあなたに話をしようという気持ちがそがれてしまいます。
その結果、相談や話し合いなどの機会を失ってしまうのは、もったいないことです。
自分には聴く気があるのに、相手には聴く気がないととらえられてしまうことはよくあります。
目線だけでなく「聴いていない」と思われる態度や姿勢があります。
相手の話す気持ちをなくすしぐさ
ちゃんと相手の話を聴こうと向かい合ったとしても、聴き手が話の内容に関心のない態度をとると、話す側は何か伝えようという気持ちがしぼんでしまいます。
あなたの話の内容に関心がないというサインになってしまう態度や姿勢があります。
- 目線が話し手にしっかり向いていない
- ぼんやり上の空になっている
- イスにだらしなく腰かけ、背もたれに寄りかかっている
このような態度や姿勢で話を聴くことは気をつけたいところです。
話し手は聴き手をよく見ています。
上の空でぼんやりしていたり、あらぬ方向に目線が向いていると気づかれます。
また、だらしなくイスにもたれる、ひじをつく、腕や脚を組むなどの姿勢も、話が面白くなくて退屈であると思わせてしまします。
あなたが話しているとき、相手がこのような態度や姿勢で話を聴いていたら話すのがイヤになってしまいますよね。
話を聴いてメモをすることは大事なことですが、注意が必要です。
メモばかりする
会社の会議や面談など、重要な話を聴く場面では「メモをしっかりしておかなくては」と思いがちですが、要注意です。
メモをとることは良いことですが、メモをとることに夢中になりすぎると相手が不安になります。
メモをとるのに一生懸命なのはわかりますが、顔をこっちに向けてくれないので表情がわからず話の内容をわかってもらえているのか不安になります。
メモを適度にとることは、相手にちゃんと話を聴いていることを伝えることができますので、メモをとりつつ相手の顔を見て話しを聴くことを心がけましょう。
間違ったうなずき・あいづちに注意
話の合間に「うなずき」や「あいづち」をすることは、話を上手に聴くスキルのひとつです。
でも、ただうなずきやあいづちをすればいいというものではありません。
気持ちのこもっていないそっけない、いい加減なうなずきやあいづちが続くと、真剣に聴いてもらっていないとなります。
逆に、調子のいいあいづちばかりだと、わざとらしいという印象を与えてしまいます。
とくに、何度も頻発に繰り返し使っているあいづちは、うっとうしいと感じられます。
相手の気持ちに立って、話を聴けば上手にうなずきやあいづちはできますので、形だけのうなずきやあいづちには注意したいところです。
「共感」ではなく「同情」「同調」してしまう
共感はカウンセラーが相談者の話を聴くときに大事にしていることです。
共感とは、「共に感じ分かち合うこと」であり、相手の立場に立ってその思いを理解し共有しようとする態度のことをいいます。
「共感」と「同情」「同調」の違いについて。
「同情」は、聴き手が相手の話す内容に感情移入しすぎて、問題を自分のこととしてとらえ、相手の感情に流されてしまうことです。
とくに聴き手自信に相談者と同じようなつらい経験があると、聴き手が自らの感情に溺れてしまって、相手の状況を把握することが難しくなります。
さらには、情緒的に依存関係に陥る危険性もあります。
また、「同情」にはどこか相手を「自分より弱い」とみなし、上から見下している部分があり、その点にも問題があります。
同じような言葉ですが、「同調」は、相手の意見や考えに調子を合わせることです。
たとえば、上司の悪口を相手に話すと、「そうだよね、ひどい上司だよね」と相手の言っていることに聴き手が合わせるようなことです。
この場合、相手は「我が意を得たり」と思って、それを上司に伝えてしまい、トラブルになることもあります。
相手の話を聴くときは、同情や同調にならないようにすることも、話を上手に聴くポイントになります。
参考文献
「人間関係がよくなる誰からも信頼される聴く技術」株式会社ナツメ社