社会的ジレンマから買い占めがおきる仕組みを考えましょう

pcnote心理学

トイレットペーパーの買い占めが話題になりました。
トイレットペーパーは生活に欠かせない物ですので、なくなると聞いて焦った人は多いと思います。
実際は、トイレットペーパーは生産も供給もありましたが、買い占めが起きたために、店頭からなくなりました。

個人が利益を大きくするために合理的な意思決定を行うと、全体では合理的な意思決定をしなかったときより結果が悪くなることがあります。
これを、社会的ジレンマと言います。

社会的ジレンマとは

社会的ジレンマとは、個人にとっては合理的だと思えることでも、みんなが行うと社会全体では不利益がでてしまうことを言います。

環境保護の例

ある開発途上国では、日々の糧を得るために、大量の森林伐採が行われています。
森林伐採は確かに環境破壊の要因の一つと言えます。
しかし、開発途上国の人々からにしたら、みんな生活のために合理的に行動しようとした結果、森林を伐採して生活しています。
決して、環境を破壊する悪者ではありません。

逆に、環境を良くしようと一生懸命リサイクルなどに取り組もうとしても、それが限られた規模にとどまる限り効果はほとんど上がりません。
それどころかコストばかりがかさんでしまい、やがてはリサイクルを継続することが困難になってきます。

社会的ジレンマは、私たちの日常生活でも見ることができます。
たとえば、スーパー同士が売り上げを伸ばそうと値下げをどんどんしていくと、商品の単価が下がってしまいます。
結果どうなるかというと、利益が下がり、営業するのが苦しくなります。
利益が上がると思ったけど、結局は利益が下がるという結果になってしまう、これも社会的ジレンマです。

災害時に起こる社会的ジレンマ

災害時は水が不足します。
水は生きていくために必要なものです。

いつ手に入るかわからないから、ある分を確保しよう。

家族が生きていくためだから。

生活を守るため、しかたないよね。

このように、水を確保しようとすることは悪いことではありません。
しかし、水を確保する人があまりに多いと、みんなが水を確保するのが困難になります。
みんなが自分の利益を追求すれば、社会全体では不利益になってしまう、じゃあどうすればいいんだになるのが、社会的ジレンマです。

囚人のジレンマ

社会的ジレンマを、2人の間に限定すれ場合、双方がそれぞれどう意思決定するかで利益が変わる、囚人のジレンマと呼ばれるものがあります。

囚人のジレンマとは

2人組の犯罪者が共犯者として捕まり、警官はこの2人の囚人に自白させるために牢屋を順に訪れて、3つの条件で取引しようと持ちかけます。

  1. 2人とも黙秘し続ける(協調)場合は2人ともに懲役1年の刑
  2. 1人が自白する(裏切り)の場合は自白した者は釈放、黙秘をしている共犯者は懲役15年の刑
  3. 2人とも自白をした場合は2人とも懲役10年の刑

なお、2人は別々に取り調べを受けているため、相手の意思がわかりませんが、お互い同じ条件が提示されていることは知っています。

この場合に、どのように意思決定するのが、2人の囚人にとって得になるでしょうか。
ここで囚人はジレンマに陥ってしまします。

囚人2人は、協調して黙秘するか、裏切って自白するかの選択を迫られています。
自分が黙秘をした場合を想定すると、相手が黙秘だと自分は釈放されて、相手も自白すれば懲役10年の刑となります。
一方で、もし2人とも黙秘できれば、2人とも懲役1年の刑で済みます。
相手を裏切らないのが、徳であると考えてしまいます。
しかし、2人ともが自白してしまうと懲役10年の刑で、自分が黙秘して相手が自白すると懲役15年の刑になります。
相手を信頼できずに、自分が損をしないようにすると、最長の刑期の15年になってしまうと考えることもできます。

囚人のジレンマは相手の選択が分からないことで生まれてます。

囚人のジレンマのモデル

囚人のジレンマはおもしろいですね。
僕だったらどう選択するかなって考えてジレンマに陥ってしまいます。
相手を信じるかどうかを問われているような気が僕にはします。

まとめ

社会的ジレンマは不安や混乱があれば起こる可能性があります。
個人では合理的で必要なことでも、多くなりすぎるとみんなが不利益になることはあります。
困った時こそ、みんなで助け合いでのりきっていきたいものです。

参考文献
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