不登校の問題は、国や教育機関で対応していますが、不登校の子どもは増加しています。
理由は、さまざまありますので、子どもが悪いや親が悪い、学校が悪いと決めつけることはできません。
大事なのは、子どもに寄り添うことができるかです。
言葉では簡単ですが、実際は簡単なことではありません。
不登校についていっしょに考えてみませんか。
不登校について
文部科学省によると、不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)とし、学校を30日以上欠席した子どもが不登校としています。
不登校の子どもはどのくらいいるの
小・中学校の不登校の子どもは、1991年に66,000人であったのが、1994年に77,000人になりました。
この事態を受けて、文部省(当時)は1995年にスクールカウンセラー制度を導入しました。
しかし、不登校数は増え続け、2018年では164,528人と増えています。(文部科学省平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要)
不登校は、特に小6から中1の間に増加するのが特徴です。
理由は、小学校と中学校の学習環境の違い、学習内容の高度化、生活環境の大きな変化や友人関係の変化などの要因が考えられています。
不登校の歴史
最初の不登校の報告は、1941年アメリカににおける「学校恐怖症」が最初と言われています。
日本では、1950年代からだと言われていて、母子関係に起因する過保護的な関わりや心理的葛藤が主な原因とされています。
さらに、近年では、あまり葛藤がみられないタイプや、発達障害を伴う不登校が増えていると考えられています。
不登校のタイプ
不登校のタイプは、神経症なもの、発達障害によるもの、怠学、精神障害によるもの、積極的意図的なもの、一過性のものに分類できるとされました。
神経症的なものは、分離不安タイプ、優等生の息切れタイプ、甘やかされタイプに分類しています。(小泉英二ら 1973 登校拒否 学事出版)
不登校への対応について
不登校の初期のおいては、頭痛や腹痛などの身体症状を訴えることがあります。
そして次第に2,3日の欠席が増えてきて、不登校に至るというパターンがよくあると言われています。
身体症状は、子どもの心が変化していたり、不安が高まっていることを知らせるサインです。
したがって、子どものサインを早期に気づいて、適切に関わることが重要です。
たとえば、学校の対応としては、2,3日欠席が続く時期に家庭訪問や電話連絡など丁寧な関りをしながら子どもの状態を把握し、欠席の後に登校しやすいクラス環境を用意することがあげられるでしょう。
また、家庭では、普段よりも言葉かけを多くしたり、子どもの言葉をよく聴いてみるなどしてみましょう。
このように子どもに寄り添い「あなたのことちゃんと見ているよ」というメッセージが子どもに伝われば、子どもは心の安定を取り戻し、短期間で回復することがあります。
長期欠席に入ると、経過は長くなりがちです。
家から一歩も出なかったり、家族への暴力が始まったり、昼夜逆転といった生活リズムの乱れもしばしば生じます。
このような状態になった場合には、担任と保護者、スクールカウンセラーなどが相談しながら、長い目で対応していく必要があります。
また、家庭内暴力や、精神症状がみられたときは、必要に応じて医療機関や外部の専門機関と連携していくことも必要になってきます。
不登校の回復期も大変重要な時期です。
多くの自治体が適応指導教室を設置しています。
適応指導教室に通えば、在籍校の出席日数にカウントされる制度もあり、子ども達に「居場所」を提供するほか、学習支援や生活スキル、対人関係スキルを促進するプログラムも工夫されています。
学校復帰に際しては、在籍校の担任などと連携し段階的に登校数を増やしたり、学校内に別室を用意するなどきめ細かな対応が求められます。
忘れてはいけないことがあります、学校に戻ることが目標ではありません。
子どもをいかに自立できるようにするかを考えていくことの方が大事です。
まとめ
不登校に関しては、さまざまな取り組みがされています。
ですが、不登校者は減るどころか増えています。
私は、学校に行くか行かないかどっちが良いか言われれば、学校に行った方が良いと思います。
ただし、学校に行きたくない、行けない子どもを無理やり学校に行かせるのは反対です。
学校に行けば将来、安泰に生活できる保証なんて誰にもできないことです。
子どもに必要なのは、自立して生活できる力ではないかと思います。
学校教育も必要ですが、子ども達が自立していける環境づくりが大事だと思います。
参考文献
「よくわかる心理学(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)」