人間関係に悩むことは誰もが経験していることだと思います。
そして、切っても切れないストレスも私たちにのしかかる問題です。
ストレスを我慢すれば、心身の健康が脅かされますし、人間関係にも支障をきたします。
どのようして対処していくのかについて紹介します。
あなたの本来の力を発揮できるヒントにしてください。
本心を隠してはいい人間関係は築けない
社会生活をしていくなかで、本心を表に出さないほうがいい場合もあります。
本音と建前の使い分けは、社会人に求められる処世術といっていいでしょう。
確かにお世辞を言うことで、人間関係や営業などうまくいくこともあります。
しかし、こうした現実社会の中でずっと暮らしていると、「本心は表に出すべきでない」という考えが当たり前になってしまい、本当の気持ちを心の奥底に封じ込めるようになってしまいます。
特に、気が弱く自信がない人は、「自分の本当の気持ちを表に出したら、人に嫌われるのではないか」という不安があり、言いたいことがあっても言わずに飲みこんでしまう傾向があるそうです。
また、社会のモラルや社会的立場を何より重視する人も、それに反するような感情が自分の中に芽生えると、「好ましくない」「いけない」と判断して心の奥底に封じてしまいます。
言いたいことを我慢したり、争わないようにすれば、表面上の人間関係はうまくいきます。
でも、すべての人に同じようにかかわっていくことが良いことなんでしょうか?
心を開くべき相手にまで本心を隠していては、人間関係は深くなりません。
いずれ、壁にぶつかることになるでしょう。
嫌なことを言われて我慢し続けることについて
嫌なことを言われたときに、「やめて」と言えない人は多いのではないでしょうか。
言いたいことを本心を言うときには言えるようにしておきませんか。
たとえば、日ごろから夫から「要領が悪い」と言われていて、妻も自身も要領が悪いという自覚と劣等感があり、傷ついているのに夫に伝えられずにいたとしましょう。
夫は妻の気持ちに気づかず軽い調子で「要領が悪い」と言い続けていると、ある日突然、たまっていた感情が爆発するおそれがあります。
もう我慢できない思いが、いわゆるキレた状態になり相手を攻撃してしまうのです。
「あなたにそんなこと言われたくない。わたしの気持ちも知らないで一生懸命あなたを思って尽くしているのにひどい」といった具合に夫に怒鳴ったら、今まで妻から言い返されてなかった分、夫が受ける衝撃は大変なものです。
怒りが怒りをよび、大ゲンカになって収拾がつかなくおそれがあります。
ケンカをして本心をぶつけあうことで、互いに理解しあうことになればいいのですが、後戻りできない状況にまでになってしまうこともあります。
これは、夫婦だけでなく、職場や友人での人間関係でも同じことがいえます。
大事なのは、思いはきちんと言葉にして伝えることです。
不安のあまり気持ちを抑えてばかりいては、真に互いに理解し良好な人間関係を築くことは難しいです。
相手に気持ちを伝える話し方のコツ
本心を伝えるときに大事なのは、相手に感情をぶつけるのではなく、できるだけ冷静に、気持ちをそのまま伝えるようにすることです。
本当のことを言ったら怒らせるとか嫌われるといった心配をする前に、伝え方を考えてみるのが先決です。
たとえば、ふくよかな体形にコンプレックスをもっている女性が、彼氏から「ぽっちゃりしている」と言われれば、ぽっちゃりと言われるたびに傷つくでしょう。
たとえ彼氏がふくよかな体形が好きで親しみをこめて「ぽっちゃり」と言っているとしても、彼女には無神経な言葉として伝わります。
彼氏から侮辱され、傷つき我慢し続けた彼女が、「こんな男とはわかれたい」とひそかに決心していたらどうなるでしょうか。
そして、彼女から別れ話をきりだされた彼氏からすると「なんで」という気持ちになることでしょう。
別れ話の前に気持ちを伝えることができれば、気持ちのすれ違いが起こらなかったはずです。
彼氏から「ぽっちゃりしてるよな」と言われたら、彼女が「私は太っていることを気にしているから、そういう言い方をされると落ち込んでしまうのよ」と言ってみればいいんです。
きっと彼氏は「ぽっちゃりしているのが好きなんだ。傷つけるつもりはなかったんだ。ごめん、もう言わないから」と謝ってくるでしょう。
彼氏の釈明を聞くうちに、侮辱されていたのではなくて愛されていたことがわかると、気分が落ち着いて、ぽっちゃりという劣等感の感じ方も変わってくるでしょう。
家族や友人であれば、そもそも劣等感を刺激するような言葉というのは、相手を傷つけようと意識していないことが多いです。
家族や親しい友人にわざわざ侮辱したりいじめようとする人は、まずいないでしょう。
自分の気持ちを伝えるのは、人間関係を深めるのに必要不可欠なことです。
互いに心を開いて理解しあってこそ、豊かな愛情や友情、心の繋がりが生まれます。
本心を表に出すのが苦手な人は、冷静に気持ちを伝える方法を身につけてみてはいかがでしょうか。
気の乗らない依頼や誘いを受けたときのうまい断り方
好ましくない頼みごとや誘いをはっきり断ることも、適切な主張として大事なことです。
たとえば、同僚から仕事を手伝ってほしいと頼まれたり、飲みに行こうと誘われたりしたときに、「断ったら機嫌を損ねるのではないか」などとおそれ、自分を押し殺してまで受け入れる必要はありません。
断るコツは、理由をはっきりさせて相手を納得させることと穏やかに断るです。
たとえば、みんなで飲みに行こうという話になった場合。
「今夜はデートだからパス」ではそっけないですとね。
かといって「ごめんなさい。本当にごめんなさい。今日は勘弁してください」とここまで恐縮されては、その場がしらけてしまいますね。
うまい断り方は、「本当に残念だけれど、前々からの約束があるから。また今度誘ってくれるかな」になります。
断る理由をあげるとともに、自分が残念だと思っていること、また誘ってほしいことまで、きちんと伝えています。
相手の心理やその場の状況を考え、その場に応じた断り方をすれば角がたちません。
実際、自己主張ができなかった人が、頼みごとや誘いを断れるようになって、かえって積極的になったケースもあります。
大事なのは、適切な表現ができれば、人間関係は良好になり、あなたの評価も高くなります。
協調性のある「いい人」は要注意です
協調性を重んじるあまり、自分を押し殺してストレスをためこむ適応過剰型も人が増えているそうです。
会社でまじめに熱心に仕事に取り組み、職場の人間関係を大切にする人といえば、模範的な社員のように思えるでしょう。
でも、周囲に合わせることことを最優先させ、常に本心を隠し、笑顔をたやさず、人の期待にこたえて好かれようとするあまり、頼まれたことは何でも引き受ける人がそばにいたらどう思いますか?
「いい人」ですね。
周りからすれば「いい人」であっても、本人はストレスが蓄積されているかもしれません。
適応過剰型の人は、周囲から見れば「いい人」が多いです。
周囲の人たちから好かれ、表面上にはうまくやっているようにみえます。
ところが、本人には気づかないうちにストレスが蓄積されていきます。
適応過剰型が問題なのは、適応しきれないほどのストレスを受けても、自分の適応力を高め、耐えることで解消しつづけようとする点です。
我慢に我慢を重ねるうち、自律神経に不具合が生じます。
慢性的な肩こり、首のこり、頭痛、胃潰瘍になったことことがある人は、いい人がすぎるかもしれません。
精神科医の和田秀樹氏によると「いい人」には2つタイプがあるといわれています。
ひとつは周囲に合わせすぎて自分を縛るタイプです。
このタイプは、嫌われたくないという思いがきわめて強く、自分の感情や考えを押し殺して苦しくなっていきます。
もうひとつは、自分で自分を縛って息苦しくなるタイプです。
親や周囲に植え付けられた道徳感や価値観が強すぎる、いわゆる堅物になっている人です。
いずれも程度が過ぎると心に余計なストレスがかかり、対人関係がうまくいかなくなるとのことです。
そこで和田氏がすすめているのは、いい人をやめて、本当の自分を理解してくれる友人をつくることだそうです。
いい人をやめると、離れていく人もいるでしょう。
そんなときこそ、自分の思いに反してまで合わせる必要がある相手であるか考えてみましょう。
自分を出しつつ、周囲にも気を配れる人になって楽しく生きてみませんか。
次回、第2回人間関係とストレスに負けない方法はストレスとの付き合い方についてです。
参考文献
「楽しそうに生きている人の習慣術」河出書房新社