権力は人を変えるのか?ジンバルドの模擬刑務所実験でわかる権力の怖さ

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人は権力を手に入れると変わってしまうのか?
昔はこんな人ではなかったなどという話もありますが、権力を手に入れると人はどうなるのでしょうか。
支配と服従関係について有名な実験がありますので紹介します。

人は権力を持つと変わる「ジンバルドの模擬刑務所実験」

ジンバルドの模擬刑務所実験は、実験室に模擬刑務所を作りました。
実験の被験者は大学生をランダムに24人集めました。
24人の学生の半分を看守役に、残りの半分を囚人役に割り当てました。
看守役には、看守の制服を着て、警棒や手錠など渡されて、囚人を監視するように指示しました。
囚人役は、模擬監獄に収監されて、さらに行動も制限され、何をするにも看守の許可を取ることをルールとしました。

模擬刑務所での実験は、2週間の予定で行われていたのですが、6日間で打ち切られるという異常な実験だったそうです。

実験については、実験が始まると看守役は独裁的・専制的になり、囚人たちを支配する規則を勝手に作るばかりか、囚人役たちに対して横暴に振る舞いました。
この看守役たちに対し囚人役たちは暴動を起こしましたが、看守役たちに鎮圧されると、抑うつ的になり、支配される状況を受け入れるようになってしまいました。

この実験で囚人役たちの情緒が予想以上に障害を受ける恐れがあると判断されて、6日間で打ち切りになりました。

看守役と囚人役の振り分けはランダムに行われていますので、実験に協力した学生たちの資質が、看守役の独裁的で専制的な振る舞いの原因とは考えにくいです。
よって、原因は実験でそれぞれの置かれた立場が権力構造にあると考えられます。
実験とわかっていても権力を与えられ者は権力を行使し、支配される側も状況を受け入れてしまいます。

権力構造は、容易に人を変えてしまうことが模擬刑務所の実験結果からわかります。

ジンバルドの模擬刑務所実験

模擬実験にもかかわらず、立場を作るだけで、看守役は必要以上に権力を行使しようとし、囚人役は受容するようになりました。

権力は堕落する

模擬刑務所実験の結果から、権力を持った者は、権力を行使をしたくてたまらず、自分が支配する対象に必要以上に厳しくあたることは大いに考えられることです。

心理学者のキプニスは権力について実験をしました。
実験は模擬会社を作り、5人の被験者に作業をさせる実験を行いました。
5人の内、1人を管理職に残りの4人に部下の役割を与えました。
管理職役は別室から部下役に作業の指示を出して、より大きな成果を上げることを目的としました。

管理職には権限の強い者と弱い者がいて、権限の強い管理職は作業指示のほかに、部下への賃金の支払いの増減、部下の解雇、支持の追加などの命令が自分の裁量でできます。
権限の弱い管理職は簡単な作業指示しかできないものとしました。

実験の結果は、権限の強い管理職は支持を頻発に出し、成果が上がれば自分の指示がよかったからだと考え、部下のことを不当に低く評価をする傾向がありました。

模擬会社の実験結果からキプニスは、権限の強い管理職のことを権力の堕落とし、強い権限を持つ者は、自己を特別な存在と考える傾向があるとしました。

強い権限を持つ者は自分を特別視する

管理者は、強い権限を持っているかどうかで部下の接し方も、部下の評価の仕方も変わります。
権限を持った者の他者評価が低くなるのは、他者の感情や状況を思いやる気持ちが少なくなると考えられています。

まとめ

模擬刑務所の実験は怖いですね。
普通の人が立場によって変わっていくのは怖いことです。
模擬刑務所の実験をもとに映画が製作されています。
es「えす」というサイコサスペンス映画です。
よかったら参考にしてみてくださいね。

模擬会社は、必ずしも当てはまるとは言えないですが、こんな上司いるよねーという感じです。
このような権力が堕落した会社に勤めているのなら、専門家に相談するか、会社を辞めるかして自分を追い込まないようにしてくださいね。

最後に、誰もが権力を持ったから変わるものではありません。
変わるキッカケになるかもしれないということです。
あなた自身や周りについて、自分の立場について考えてみてはいかがでしょうか。

参考文献
「史上最強カラー図解プロが教える心理学のすべてがわかる本」