人はなぜ同調してしまうのか「合わせてしまう心理」

pcnote心理学

自分の意見が周りの意見と違うとき、あなたはどうしますか?
私は周りに合わせます。
なぜか合わせてしまうのでしょうか。
同調してしまう心理について紹介します。

多数派に合わせる心理

私たちは、集団の中にいると、命令されたわけでもないのに、自分の行動や意見や態度など、多数派の行動や意見や態度と同じように変えることがあります。
多数派に合わせることを同調といいます。

アッシュは、同調に関する実験をしました。
2枚のカードを7~9名の実験参加者に見せます。
左のカードの標準刺激と同じ長さの線を、右のカードの3本の線から選んで、1人ずつ順に答えるようにしました。
実験では、最後に回答することになっている1人だけが真の実験参加者であり、残りはすべて実験協力者でした。
実験協力者は、問題12回中7回、全員同じ誤った回答をすることになっていました。

出典 Asch 1952

実験の結果、真の実験協力者31名中、25名は少なくとも1回は誤った回答をし、12名が3回以上誤った回答をしました。
総判断数217回中、多数派に同調した誤答は72回(33.2%)にのぼりました。
なお、この実験は明らかに正解がわかる簡単な問題であり、実験参加者が1人でこの問題を行うと、175回のうち、誤答は7.4%でした。
実験参加者は明らかに正解がわかっていたはずなのに、集団の多数派による間違った回答に同調してしまった可能性が高いです。

その後の実験で、実験協力者が3人いれば同調率は最大限に達し、これ以上実験協力者の人数を増やしても同調率は増えないこと、実験協力者の1人が他の実験協力者の誤答とは別の誤答をすることによって多数派の全会一致が崩れれば、同調率は激減することがわかりました。

同調圧力を生むのは、多数派の人数の多さではなく、多数派の答えが一致していることなのです。

規範的影響と情報的影響

同調はなぜ生まれるのでしょうか。
ドイッチとジェラードは、同調過程に2種類の影響力が作用すると指摘しています。

他の集団メンバーからの非難を避け、受け入れられたいという動機から、「ここではどのように行動するべきか」を考えて同調する場合には、規範的影響を受けていることになります。
規範的影響によって同調している人は、必ずしも多数派の判断や行動が正しいと思っているわけではありませんが、多数派と同じ行動をとらないと嫌われるのではないかと考えて、表面上だけ多数派に合わせている状態にしていると考えられます。

一方、正しい判断をしたいという動機から、他の集団メンバーの意見や判断を参考にした結果、情報的影響を受けていることになります。
規範的影響と違って、情報的影響によって同調している人は、多数派の行動や判断が正しいと心から信じています。
自分の判断や行動に確信がもてないときほど情報的影響を受けやすいと言えるでしょう。
アッシュの実験は、正解が明らかにわかる問題であったにもかかわらず、間違った答えをする多数派に同調したわけですから、規範的影響による同調があったのではないかと考えられています。

同調を促す状況とは

ドイッチとジェラードは、アッシュの実験にならって、誤答する3人の多数派がいる状況で、実験参加者に線分判断を求める実験を行いました。

ある条件では、実験参加者が線の判断をするときまで線が見えている「視覚」試行と、判断する前に線が消される「記憶」試行がありました。
また、別の条件では、アッシュの実験のように対面で回答する状況と、実験参加者と実験協力者がお互いに見えないように匿名にしました。

実験の結果、匿名状況よりも対面状況の方が、視覚施行よりも記憶試行の方が、多数派への同調が多くみられました。
また、匿名よりも対面の方が、多数派への同調が多くみられました。

判断時に線が見えない記憶試行では、実験参加者が自分の判断に自信をもてなくなるため、情報的影響を受けやすくなったものと考えられます。
他者と対面している方が、匿名のときよりも規範的影響を受けることになります。

集団の中では、多数派の行動に同調することを促す力が働きます。
同調することで、集団がまとまりやすくなり、集団目標が達成しやすくなることはあります。
しかし、同調する力は、集団全体を誤った行動に導く可能性があります。
同調の心理を知り、多数派の行動に同調するかどうかをしっかり考えることも必要なのかもしれません。

人は仲間外れを嫌う

人の同調傾向を調査した報告があります。
シカゴ大学行動科学准教授のノア・ゴールドスタインは、中規模ホテルの宿泊者1058人の事例を調査しました。

ホテルでは、ルームメイキングの際、環境保護のためにタオルを交換せずに、もう1日の継続使用をメッセージカードでお願いしました。

ある部屋で「環境保護のために」というメッセージを置くと、35.1%の人がタオルの再利用に賛同してくれました。

別の部屋では「約75%の宿泊者にタオルの再使用をいただいております」というメッセージを置いたところ、44.1%もの人が再使用に賛同してくれました。

つまり、みんなもやっているのだから、自分もやろうという同調傾向があったといえます。

まとめ

私は学校や仕事でよく周りに合わせていました。
良くいえば空気を読んでいたのですが、悪くいえば自分がなかった気がします。
しかも、よくわからないことは周りに合わせて無難にやり過ごしていました。
同調することは、悪いことではありません。
ですが、言うべきところはしっかり自分の意見を言えることが大事だと思います。

参考文献
「よくわかる心理学(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)」

「一瞬で人を操る心理法則」