年をとるとともに、健康面が心配になります。
今まで一人でできていたことが難しくなったときに、社会保障の介護保険の活用を考えていきたいものです。
介護サービスと施設について紹介します。
介護保険が利用できる介護サービスは6種類
介護保険は利用者の身体状況によって「要介護度」という7つの段階に分けられています。
「要支援1~2」の対象となった人には、今の体の機能をできるだけ維持し、要介護状態にならないように各種サービスが提供されます。これは介護保険の「予防給付」と呼ばれ、基本は身体的な問題が軽度の人に向けたものです。
「要介護1~5」の対象者は、入浴や排せつなど生活の一部に介助が必要な人から、生活において全面的な介助が必要な人まで、段階によって分けられています。
「要介護1~5」認定された人が受けられるのが「介護給付」です。
要介護度により利用できる内容は異なりますが、利用できる介護サービスを紹介します。
自宅や施設で受けることができる介護サービス
- 介護サービスの利用についての相談、ケアプランの作成
- 自宅で受けられる家事援助などの介護サービス(ホームヘルプなど)
- 施設などに日帰りで出かけて受ける介護サービス(デイサービス、デイケアなど)
- 施設などで生活しながら短期間から長期間、食事や排せつなどの介護が受けられるサービス
- 訪問・通い・施設での宿泊を組み合わせて介護が受けられるサービス
- 歩行器、車いすなど福祉用具を利用する際のサービス
介護サービスを受ける場所で大きく分けると3つに分かれます。
- 基本的に「自宅」で生活し、介護員や看護師などの訪問を受ける
- 自宅で生活しながら「介護施設に出かけて」介護サービスを受ける
- 日常生活の場を「施設」に移して介護サービスを受ける
【自宅で生活しながら受けられる介護サービス】
「要介護1~5」の対象となった人が受けられる介護サービスについて。
まず自宅で受けられるサービスですが、代表的なものとして「訪問介護(ホームヘルプ)」があります。
これは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることをサポートする介護サービスで、訪問介護員(ホームヘルパー)が家を訪れ、食事、排せつ、入浴などの介護や、掃除、洗濯、買い物や調理などの日常生活の支援を行います。
通院などの場合、車での移動を介助するサービスが利用できることもあります。
また訪問看護や訪問リハビリなどの介護サービスもあります。
施設に通って受けられる介護サービスとしては、「通所介護」がよく活用されています。
一般的に用いられる「デイサービス」と呼ばれいます。
デイサービスは、できるだけ自宅で自立した日常生活を送ることができるよう身体機能の維持に加え、自宅にこもりがちな高齢者の孤立感の解消や、家族の負担軽減を目的としています。
施設では、食事や入浴などの日常生活の支援や、生活向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供していて、利用者同士の交流もあります。
利用者の自宅から施設までの送迎も行っています。
【医療的な支援を行う「老健」「介護医療院」も介護保険適用】
滞在型の施設としては主に「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護医療院」があります。
「介護老人福祉施設」は「特別養護老人ホーム」、「特養」の略称でいうこともあります。
この施設は、「常に介護が必要な人」を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供しています。
基本的に利用期間に制限はなく終身利用が可能ですが、特別な事情がない限り入所できるのは「要介護3~5」の人です。
入所時の一時金が不要で、利用月額も介護保険施設なので、民間の介護付き有料老人ホームなどに比べて費用が大幅に安くなるのは大きなメリットですが、その分、入所希望者が多く、地域によっては入所まで長い待機期間が必要になります。
「介護老人保健施設」は「老健」とも呼ばれる医療的なケアを主眼とした施設で、入所者が可能な限り自立した日常生活を送ることができ在宅復帰ができるように、リハビリテーションや医師・看護師による医療、介護などを提供します。
特養とは異なり「要介護1」の人から対象となりますが、終身利用はできず入所期間は原則3カ月~半年程度です。大きなけがや病気をして病院に入院し、その後退院してすぐ自宅に戻るには不安が大きい場合などに活用されることも多いようです。
「介護医療院」は2018年創設の新しい施設で、長期的な医療と介護が必要な高齢者を対象としています。医療サービスが行われるのは老健と同じですが、「自宅での生活への復帰」を目的とした老健とは異なり、「看取り」や「ターミナルケア」までを見すえて医療機関と生活施設をあわせもちます。
特養や民間の有料老人ホームの入居者が大きなけがをしたり、重い病気にかかったりした場合の受け入れ先としての役割もあります。
【グループホームは少人数で共同生活を送る地域密着型の介護施設】
一般に「グループホーム」の名前で知られているのが「認知症対応型共同生活介護」です。
これは、認知症の高齢者を対象に専門的なケアを提供するサービスで、入所の条件は介護保険の「要支援2~要介護5」の認定を受け、また「認知症と診断」された人です。施設と同一の市区町村に住民票があることも条件になります。
グループホームに入所した利用者は、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを受けます。グループホームでは、ひとつの共同生活住居で5~9人の少人数の利用者が介護スタッフとともに共同生活を送ります。
グループホームは認知症ケアが中心なので、認知症の対応に慣れたスタッフが常駐していて、自宅に近い環境であることがメリットです。
介護に関する社会保障は種類が多く、どれを利用できるかわからないこともあります。
わからないときは、迷わず近くの行政機関に相談しましょう。
出典 AERA dot.必ず知っておきたい! 自宅や施設で受けられる介護保険の6つの介護サービス