日本は保険大国といわれています。
では、どのくらいの割合で加入しているのでしょうか?
公益財団法人生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険に加入している人は、男性では81.1%、女性では82.9%となっています。
10人いたら8人は、生命保険に加入していることになります。
多くの人が、万が一に備えて準備されています。
将来のために加入した保険は、加入後どうしていますか?
タンスや引き出しにしまって放置していませんか。
5年、10年と年月が過ぎることによって、加入した当時と環境が変わっています。
保険の見直しをしないと、保険金を受け取る際に大変な思いをすることになるかもしれません。
保険の見直しすることの大切さについて紹介したいと思います。
死亡保険金の受取人を変えずにそのままにして困るケース
死亡保険金の受取人を加入したときのままで困った例を2つ紹介します。
ケース①結婚して10年、お互い再婚同士の夫のAさんと、妻のBさんの場合
先日Aさんが亡くなり、遺品整理をしていると、たんすの奥から生命保険の証券が出てきました。
出てきた保険は、20年前に契約した保険でした。
保険証券を見ると、受取人には前妻の名前が書かれていたのです。
前妻との婚姻期間中に契約した生命保険でしたので、受取人を前妻にしていることはよくあることです。
離婚したからといって、受取人が変わりません。
手続きをしないとたとえ現在、妻であっても、受取人はBさんになりません。
保険会社は、あくまで保険証券上の受取人に保険金を支払うようになっています。
Aさんが生前、再婚した時に保険の受取人の変更をしていなかったばかりに、妻のBさんに保険金を渡すことができなくなるという残念な結果になってしまいました。
ケース②受取人はすでに死亡、保険金は家族の誰が受け取る?の場合
先日亡くなったCさんは、10年前に夫を亡くしており、長女Dさん、長男Eさんの3人家族でした。
Cさんの生命保険の受取人は、10年前に亡くなった夫のままです。受取人は誰になるのでしょうか。
この場合、受取人の相続人が代わりに受け取ることになります。
通常の遺産相続では、法律で決められた法定相続割合に応じて遺産を分けることになります。例えば配偶者は2分の1、子どもが2人いれば4分の1など、相続人によって受け取る割合が異なります。
しかし、保険金の受け取りにおいては、法律により、保険金額を相続人の人数で割り、それぞれ同じ金額を受け取ることになるのです。今回の受取人は長女Dさんと長男Eさんになります。この2人でCさんの保険金を2分の1ずつ受け取ることになります。
Cさんは、長女Dさんと同居していましたが、長男Eさんとは、家を出たきり疎遠になっていました。
Cさんは生前から、財産を長女Dさんにとは考えていて、長男Eさんには必要以上の財産を渡すつもりはありませんでした。
しかし、Cさんは保険金の受取人を昔のまま変えずに夫のままにしていたのです。
夫が亡くなった時に受取人を長女Dさんに変更しなかったために、Cさんの想いとは異なり、長男Eさんにも保険金を渡すことになりました。
ケース①、②の事例参考 盛 勝利(アクセス相続センター 相続診断士)
ケース①の場合は、現在の妻Bさんが死亡保険金を受け取れない話でした。
離婚や再婚したときに、保険を見直そうとはなかなかなりませんよね。
でも、Bさんみたいに受け取ることができなくなることを考えると、夫のAさんは、離婚、再婚したときに、保険を見直すきっかけがあればよかったと思います。
人生の節目で、結婚や離婚などもそうですが、年月が経てば家庭の環境は変わります。
その都度、保険を見直す習慣をつけることをおすすめします。
ケース②の場合は、母のCさんは保険金を長女のDさんに渡したかったのに、長男Eさんにも保険金が受け取れるようになってしまったという話です。
原因は、Cさんが死亡受取人を亡くなった夫のままにしていたことです。
さらに問題は、保険金を受け取るのに、長男Eさんの協力が必要になることです。
疎遠となった家族と連絡とり、手続きに必要な資料を集め、保険会社に保険金を請求するのは、時間と手間がかかり、とても大変です。
この場合は、Cさんの夫が亡くなったときに、保険の見直しをして受取人を変えていれば、死亡保険金だけは長女Dさんが受け取る手間や時間は減らすことはできました。
保険金を受け取ろうとしたときに支障が出る例です。
これは例であり、保険会社や保険内容により取り扱いが異なる場合があります。詳しい手続きに関しては、加入している保険会社にお問い合わせください。
生命保険に加入する意味を考えよう

生命保険に加入するのは、人それぞれ理由があると思います。
たとえば、自分が死んだときの「葬儀の費用」として、生命保険を利用することがあります。
葬儀には、まとまったお金が必要になります。
預貯金は、名義人が亡くなれば、口座からお金を出金できなくなり、相続の手続きに時間がかかります。
保険であれば、書類がそろい不備がなければ、数日で保険受取人に支払われます。
残された家族に金銭面で迷惑をかけてくない人にとって、保険は有効な手段として利用されている人は多いです。
また、「お金を渡したい人に渡せる」のも生命保険の利点です。
預貯金と違って、保険には受取人を指定できます。
名前を指名できることによって、お金と想いを残すことができるので、利用されています。
ただし、保険金の受取人に関しては誰でも指定できるとは限りません。
加入している保険会社に確認をお願いします。
おそらく、「ただ何となく何かあったときのために」や「すすめられたから」という理由で保険に入っている人もいると思います。
理由は何であれ保険に加入していることは、良いことだと思います。
将来、何が起こるかはわからないので、保険は大事です。
しかし、本当にあなたが加入している保険は、あなたやあなたの大事な家族が必要なときに、保険金が支払われる保険かどうかの確認をしてほしいです。
私は、保険は困ったときに、保険金が受け取れる保険が良い保険だと考えています。
保険金が支払わなければ、何のための保険か分からないです。
だからこそ、保険を見直して、必要なときに必要な保険金が出る保険契約なのかを確認してほしいです。
まとめ
保険は加入したら、もう大丈夫、安心できるというものではありません。
定期的、または人生の節目のときに見直してこそ、保険は本来の役目を果たすと思います。
もしものとき、万が一に備えて、せっかく加入した保険に、さらにあなたの想いをのせるためにも保険の見直しをしてみませんか。
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