同僚や部下から相談を受けたら、よき相談者になりたいものです。
よき相談者には相手の抱えている問題や悩みを理解し話を聴くことが求められます。
どのような聴き方をすればよき相談者になれるのか紹介します。
職場で信頼を得る話の聴き方
私たちは目の前で起きている出来事や事実を自分の枠組でとらえています。
出来事や事実をどうとらえるかはひとりひとり異なるということです。
たとえば、AさんとBさんが仕事中にミスをして上司に叱られたとします。
Aさんは「上司は自分のことを、仕事ができないダメな部下だと思ったはずだ」と感じ落ち込みました。
Bさんは「自分はミスをしてしまったけれど、これを教訓に仕事のやり方を見直して次にいかそう」とミスを前向きにとらえました。
AさんとBさんに起きた出来事は同じでも、出来事に対する「とらえ方」が異なり、ミス後の「気持ちや行動」に影響がでています。
出来事そのものよりも、むしろその「とらえ方」によって、人の心のありようは左右されます。
ですから、話を聴くときは、自分のとらえ方はいったん置いておいて、相手が何をどのようにとらえているか」を理解することが大切です。
自分の考えが相手と同じとは限りませんので、相手のとらえ方を理解すること心がけていきましょう。
そして、他人に相談しづらい内容、一般的な道徳に反することや自分のコンプレックス、他の人に伝わると心配なことなどが話題のときは、あなたは自分の価値観を先に表明しないように気をつけながら聴きましょう。
また、Aさんの例のように、相手が自分の考え方にとらわれているために苦しんでいる場合は、それに気づいて考え方を変えられるように、別の考え方やとらえ方がないか一緒にいろいろな見方で考えて相談を受けてみてください。
同僚が転職したいと言い出した
社会で活動するにあたって、就職、異動、転職、起業など、さまざまな転機が訪れます。
こうした転機はの際は、収入や生活、仕事の仕方、人間関係なども大きく変化するため、誰もが先のことが心配になったり、不安な気持ちになったりするものです。
現在では転職することは珍しいことではありませんので、転職の相談を受けることもあると思います。
そんなときは、どのようにして話を聴くか悩むところです。
まずは、これから起きる変化について不安に思っていること、期待していることなど、相手の気持ちに共感しながら、丁寧に話を聴いていきましょう。
相手が転職など転機にあるときや、まだ選択に悩んでいるときは、「状況」「相手自身」「支援」「戦略」について話を整理しながら聴くことをおすすめします。
状況、相手自身、支援、戦略について具体的に聴いていきます。
- 状況
今どのどのような状況で、これからどうしたいのか、具体的に今後のことをどう考えているのか、転職による生活や収入の変化など状況を聴きます。 - どうして転職を望んでいるのか、何をどう変えたいのか、強み、付加価値は何か、心配なことは何かなどについて聴きます。
- 支援
周囲の理解を得ているのか、アドバイスや情報提供をしてくれる人はいるのかなど、周りのサポートの状況について聴きます。 - 戦略
転職するための準備や情報収集など、うまく転職するためにどのように考え計画しているのかを聴きます。
状況、相手自身、支援、戦略を聴くことによって、相手は自分の状況や気持ちを整理することができ、転職について現実的に考えていくことができるようになるでしょう。
休職していた部下が復職してきた
病気などで長く休職していた人が職場に復帰する際、バリバリに働く人を見てショックを受けることがよくあります。
そして、「遅れを取り戻さないと」「みんなに迷惑かけたので、迷惑かけた分がんばらないと」と焦りがちになります。
その焦りを軽くしてあげないと、せっかく復帰したのに無理をして再びダウンすることになりかねません。
上司や同僚は、とにかく本人を焦らせないよう心がけてください。
プレッシャーをかけず、「無理せずゆっくりできることからやっていきましょう」というスタンスで接することいいでしょう。
また、「出張や残業は禁止」といった指示が医師から出ている場合は、たとえ本人がやりたかったとしても、医師の指示に従うようにしてください。
復帰するとわかったら、復帰前に本人に無理ををさせないように周囲に伝えておくことも重要です。
具体的な病名など言うことは必要ないので、「働ける状態に回復したので復帰しますが、まだ無理はできません。本人がオーバーワークにならないようにみんなで配慮しましょう」などと注意すべき点のみを周知するようにしましょう。
そして、他の部下と同様に戻ってきた本人に関心を持って様子を観察することはもちろん、「何かあったらいつでも相談にのるから」「無理しないでね」といったあたたかい見守りの言葉をこまめにかけるようにしてください。
復帰した本人が悩みなど生じたときに話せる雰囲気をつくっておくことを心がけましょう。
参考文献
「人間関係がよくなる誰からも信頼される聴く技術」株式会社ナツメ社