ストレスは私たちにどのような影響があるのか、ストレスを軽減する方法について

pcnote心理学

楽しい、幸せ、不安、恐怖などの感情によって、健康に過ごせたり、病気になりやすくなるといわれています。
不快に感じるストレスは、普段生活していて、誰もが感じいるものだと思います。
ストレスについてと、感情はストレスや健康にどのような影響を及ぼしているのか、そして軽減する方法を紹介します。

生理的指標による研究

ブキャナン(Buchanan,T.W.)らは、実験参加者にユーモラスなビデオを視聴させ快感情に誘導し、もう一方の実験参加者には、スピーチ課題を課し不快感情に誘導する調査をしました。
そして、ストレスをはかるものとして、コルチゾールというストレスに反応するホルモンを利用して行いました。

結果は、ユーモラスなビデオの条件では、基準線からのコルチゾールの減少がみられました。
また、スピーチ課題の条件では、コルチゾールの増加するという調査結果がでました。

スミス(Smyth,J.)らは、実験参加者に1日6回、その時点での刺激の受けたことや感情状態を評定させ、20分後に唾液を採取してコルチゾールの濃度を分析しました。

結果は、コルチゾールは快感情が強いほど低下し、不快感情が強いほど増加していました。

これらの研究から、不快感情のときにストレスを感じていることがわかります。

ストレス

ストレスの定義はさまざまありますが、身体的または心理的な安定を脅かすような事態の総称であるとされています。
嫌な出来事を指すストレッサーと、それに対する抵抗であるストレス反応によって成り立つと考えられています。

セリエ(Selye,H.)は、ストレスの非特異点を強調し、同じストレッサーが加わっても個人によって反応は異なると考えました。
同じストレッサーに対して、ある人はそれを脅威に感じ、ある人はそれをチャンスと感じる場合があります。

たとえば、昇進試験や海外転勤なども、ある人にとっては脅威となり強いストレッサーとなるでしょう。
逆に、「自分を試すチャンス」と思う人にとってはそうでないといえます。
なぜ、個人によってこのような違いが生じるのでしょうか。

これらの違いについて、ラザルス(Lazarus,R.S.)とフォルクマン(Folkman,S.)は、個人の心理的ストレス過程を、認知的評価モデルで示しました。

個人があるストレッサーを経験した場合に、その出来事が自分にとってどの程度脅威的であるか、影響力があるか、あるいは対処可能であるかなどの評価が行われ、次に実際にストレッサーに対する何らかの対処が行われます。

これをコーピングといいます。

結果として、さまざまな種類のストレス反応が表出すると考えられています。
ストレス反応には、胃潰瘍などの身体的反応と、抑うつなどの精神的反応があります。

出典 坂野雄二 1995 認知行動療法 日本評論社

ネガティブ(否定的)感情とストレス

ストレッサーは、不安や怒り、抑うつなどの情緒的反応の引き金です。
悲しい感情のときには、物事をより悪い方に考えることが多くなります。
また、不安が強い場合にも、状況に対する判断力がゆがみ、広い視野から物事をみることができなくなります。
ネガティブ感情が認知的評価に影響を及ぼし、結果としてストレス反応が強くでるといえます。

ポジティブ(肯定的)感情とストレス

幸福、親和などのポジティブ感情は、人がストレス状況に適応することを助けます。
ストレス状況において、ポジティブ感情はネガティブ感情を直接的に調節します。
ポジティブ感情は、それ自身は明確な身体反応を伴わないことが多いですが、ネガティブ感情と接近して生じたときは、ネガティブ感情をにより引き起こされた自律神経系の興奮を緩和します。

また、ポジティブ感情は、問題解決を促進したり、創造的になることが明らかにされています。

フレディクソン(Fredrickson,B.L.)とレベンソン(Levenson,R.W.)は実験によって、ポジティブ感情が思考と行動のレパートリーを増加させることを示しています。

つまり、ポジティブ感情をもつことが、個人の認知的評価に影響を及ぼし、ストレス状況に強くなるといえます。
また、抑うつ傾向の強い者は、ネガティブな思考をもっているとことが明らかにされており、抑うつの防止にポジティブ感情は重要な機能であるといえます。

ストレスを受け流す

ストレスは、どんなに避けようとしても、ストレスを引き起こす事態というものは避けられないです。
あらかじめ「ストレスはあるものだ」と考えておけば、心構えができます。
あらかじめ心構えさえしっかり持っていれば、ストレスになることにあっても、対応できてしまうものです。

「ストレス予期」がポイント

あらかじめストレスを見込んでおくことを「ストレス予期」といいます。
そして、ストレスを予期しておけば、ストレスによる苦痛を和らげることができます。

たとえば、仕事で勤務時間中に電話がかかってきて自分の業務が邪魔されることを当たり前であると思っていれば、勤務中に誰かから電話がかかってきて邪魔されても、そんなにイライラせず受け流すことができます。

また、上司がいつでも叱声ばかりで、ほめないのが当たり前だと思っていれば、上司に呼ばれて小言を言われても、重大に受け止めることがなく受け流すことができるでしょう。

あらかじめストレスを予期することで、ストレスを軽減することができます。

どう受け流すか考えられればOK

アメリカのデューク大学のアンドリュー・カートンは、ストレス予期にかんする実験をしました。

70名の大学生にある文章を読んで、「A」で始まる単語を見つけたら、その単語に線を引いていくという注意力を必要とする作業をしてもらいました。

その際に、半分の学生にはあらかじめ「途中で、監督者から邪魔されることがあります」と伝えておいて、ストレスが起こることを予期させました。
残り半分の学生は、そういう警告をせずに、作業の邪魔をしました。

結果はどうだったのでしょうか。
線を引けた単語数は、ストレスを予期させられていた学生では144.11語で、邪魔されると聞かずに作業をした学生では125.84語でした。

この結果から、ストレスになることがあらかじめ分かって心の準備しておくことで、ストレスを受け流して作業に取り組むことができます。

イヤなことが起こる想定をして、そのときはこのように受け流すことにしようと考えておくことで、ストレスを軽減できます。

ストレス耐性を身につけよう

ストレスを受けるのは避けられません。
では、ストレスを発散するにはどうしたらいいのでしょうか。

うまくストレスを発散できる人の共通点

人によって、ストレスをため込みやすいタイプと、ストレスをうまく発散できるタイプがあります。
ストレスを上手く発散できるタイプの共通点に、「運動をする習慣がある」がみられます。

普段から、ちょっと散歩したり、軽くジョギングすることを日課にしている人ほど、うまくストレスを処理できているといわれています。

運動をする習慣がない人にとっては、面倒くさいやおっくうだと思ってしまうかもしれません。
実際に、身体を動かすとけっこう気持ちのいいことです。

面倒と思ってもいざ身体を動かしてみると、楽しくて続けている話も聞きますので、試しに身体を動かしてみてはいかがでしょうか。

身体を動かすにあたっては、決して無理のないようにお願いします。
ケガをしてしまったら元も子もありませんので。

運動の心理効果

ニューオリンズ大学のライネット・シルベストリは、21歳から65歳までの男性に、運動するとどういう心理効果があるのかと尋ねました。

結果は、70%が「ストレスが減る」と回答しました。
運動は、ストレスを軽減させる心理効果があるといえます。
また、47%は、運動していると「リラックスできる」とも回答していました。
運動すると身体は確かに疲れますが、「リラックス効果」があり、気持ちをスッキリすることができます。

一方、運動をする習慣がない人は、どうしても悲観的になりやすいと考えられています。
運動をしていないと、暗いことや嫌なことばかり考えてしまうので、気落ちしやすくなってしまいます。

運動する習慣をもっている人は、物事を前向きに考えたり、明るく考えることができるといわれています。
運動をしていると、あまり悲観的な考えをしなくなります。

運動の効果は身体だけでなく心にも

運動をすれば、身体的な健康につながりますが、心の健康にも効果があります。
運動の習慣を身につけると、明るく物事について考えることができます。
たとえ嫌なことでストレスを受けても、受け止められるストレス耐性が身につくと考えられています。

嫌なことをポジティブに変える

物事が起こった事実は変わりませんが、どのように感じるかは変えることができます。

物事は考え方しだい

ストレスを感じる出来事でも、考え方ひとつで、ストレスに感じなくなります。
つらい出来事であってストレスを感じることであっても、考えを変えてみると、ストレスどころか、感謝の気持ちにすることができます。

たとえば、ものすごく自分に対して厳しくしてくる上司がいるとしましょう。
他の同僚たちには、厳しく指導していないのに、なぜか自分には細かいところまで口を出してくるとします。
この上司の言動を嫌な感じでとらえて「ネガティブ」に考えるのではなく、肯定的に「ポジティブ」に考えるとどうでしょうか。

「単なる部下である私に、こんなに熱心に指導してくれる」
「上司は、自分の仕事があるのにもかかわらず、私に時間を割いてくれるということは気に入ってもらえている」

考えをポジティブにできれば、上司に対してのストレスはあまり感じなくなります。
むしろ、上司が良く見えてくるのではないでしょうか。

嫌だと感じることを、発想を変えてありがたいことに考えるのがポイントです。

ポジティブに考えよう

テネシー大学のエリン・オマラは、82組の新婚夫婦を4年間に割ったて調査しました。
調査の結果、仲のいい夫婦ほど、相手の言動をポジティブにとらえていました。
嫌だなって思う出来事でも、ポジティブに受け止めていました。

たとえば、料理の味付けが薄い場合、「料理ヘタだな」と考えるのではなく、「自分の健康のことを思って、塩分を控えめにしてくれたんだ、ありがたいな」と考えたそうです。
このように、ポジティブに考えた夫婦の結婚生活は円満です。

ストレスというのは、あくまでも主観的なものです。
本人が、嫌だ、不愉快と感じなければストレスにはなりません。

ストレスをため込んで苦しくなりたくないのなら、ストレスを感じないように考えを変えてみるのも方法です。
その方法が、ポジティブに考えて受け止めるという方法です。

笑ってみる

笑うと気持ちがスッキリするといわれています。

感情は表情の影響を受ける

私たちも心や感情は、自分のしている表情に影響を受けます。
たとえ面白くなくても、「アハハ」と声に出して笑っていると、なんとなくおかしく感じてくるものですし、悲しくなくても、泣きそうな顔をしていると、なぜか心も沈んでしまいます。

ストレスを感じて辛いや悲しいと感じたときは、一度笑って気持ちを入れ替えましょう。
そうすると、ストレスがスーッとなくなっていきます。

目を閉じてリラックスではストレスは減らない

アメリカのペンシルバニア州にあるアラゲイニー大学のアミ―・ダンザーは、ストレスを減らすにはどういう方法があるのかを実験しました。

38名の女子大学生に、「お笑いのテープを聞く」「地質学の講義のテープを聞く」「目を閉じて静かにリラックスをする」という3つの条件でストレスの軽減効果を比較しました。

結果は、お笑いのテープを聞くという条件のみ、ストレスが軽減しました。

笑っていれば、心も愉快になってきてストレスが減るのです。
目を閉じてリラックスするよりも、笑ってストレスを減らしましょう。
笑う時間は1分間で十分にストレスは減少すると言われています。

ストレスを軽減できる方法をいくつか紹介しました。
これらの方法で、ストレスの軽減できるかどうかは個人差があります。
自分に合わないと感じたら、別の方法でストレスをなくす方法を探してみましょう。
本当に辛い出来事があったときは、自分だけで対処するのでなくて、専門の医療機関やカウンセラーなどに頼って相談してください。
自分ひとりでは限界があります、あなたの心が壊れてしまわないように、自分を大事にしてくださいね。

まとめ

ストレスは、私たちの生活から切り離せない関係です。
自分のストレスを軽減できる方法を見つけて、ストレスとうまく付き合っていくことができれば、人生を豊かにできる一歩だと思います。

体調が悪いなど不調を感じたら、ストレスが原因の場合があります。
不調が続くようであれば、専門の医療機関などに相談するなどして、一人で抱え込むことがないようにしてください。

参考文献
「よくわかる心理学(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)」

「身近にあふれる心理学が3時間でわかる本」