カウンセリングとは何か?カウンセリングの受け方や効果について

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カウンセリングやカウンセラーという言葉は耳にされたことがあると思います。
では、「カウンセリングとは何でしょうか?」と聞かれたらどうでしょうか。
「悩みを相談するところ」「心の問題を解決してくれる」といったイメージがあるかと思います。
さらに、「もっと具体的には?」と聞かれたら、よくわからないのではないでしょうか。

カウンセリングについて事前に知っておくと、相談するときに怖くありません。
カウンセリングがもっと身近に、そして広まってほしいという思いで紹介します。

カウンセリングとは何か

カウンセリングは、日本語でいうと「心理相談」になります。
何らかの悩みや問題を抱えている側の人が、「クライエント(クライアント)」で、相談にこたえる側の人が、「カウンセラー」と呼んでいます。

カウンセリングでは、あなたのどのような悩みや問題についても、カウンセラーに聴いてもらうことができます。
カウンセラーと相談をしていくなかで、悩みや問題へどのように対応すればよいか気づき、自分で納得できる道へ歩むことが期待されます。
家族や友人に相談しても解決できない、相談できないような問題でも、心の専門家であるカウンセラーなら克服することは可能です。

なぜカウンセリングは必要なの?

人はそれぞれ様々な悩みを持って生きています。
悩みの多くは、時間の流れや成長などにともなって、自分の力で解決していきます。
しかし、自分ひとりでは解決できない悩みも当然あります。
その場合は、家族や友人に相談して解決していくことになりますが、解決できないこともあります。
さらに、心の問題は薬による治療で改善することも可能ですが、薬だけではなかなかよくなりません。

そこで、カウンセリングがでてきます。
カウンセリングは、心理学の研究成果を活かしているのと、実際に行われてきたカウンセリングの結果から、効果があると実証されています。

自分や家族、友人では解決できないことも、カウンセリングなら解決できるということで必要とされています。

カウンセリングを受けたら必ずよくなるの?

よくなる可能性は高いですが、必ずよくなるということはできません。
これは、医学的な治療を受けて病気が完全に治るとはかぎらないことと同じです。

自分に合ったカウンセラーを選ぶことが重要です。
カウンセラーはたくさんいますが、実力がある人、ない人とまちまちです。
また、資格を持っていないカウンセラーもいますし、資格があるからといっても専門家として実力が乏しいカウンセラーもいます。
もちろん、あなたに合う、有能なカウンセラーもいます。

さらに、カウンセリングをよくするためには、クライエント自身の「よくなりたい」という強い思いがあることが大事です。
たとえ、有能なカウンセラーであっても、クライエント自身のがんばりがなければ、よくなることは難しいでしょう。
カウンセリングは、カウンセラーにすべてまかせてよくなるものではありません。

カウンセリングでどんなことをするの?

カウンセリングでは、クライエントとカウンセラーが一対一で向かい合って話し合うことが基本です。
カウンセラーは、クライエントが抱えている悩みについて語ってもらいやすいように、一生懸命に耳を傾けて、クライエントを受けとめ、理解しようという態度で、話を聴きます。

カウンセラーは、このように話を聴くことで、問題について正しく理解し、考えを深められるようにサポートしてくれます。
クライエントは語っていくなかで、しだいにあるがままの自分に気づき、受け入れられるようになるでしょう。

そして、自分に合った考えや行動を自分自身で選ぶことができるようになり、自分らしい人生を歩んでいくことになります。

普通の相談との違い

カウンセリングは、日常生活での相談とは違いがあります。
カウンセリングには特徴があります。

  • カウンセラーは、クライエントの話に真剣に耳を傾け、受けとめよう、理解しようという態度で聴きます。
  • クライエントの発言や行動に、カウンセラーは批判したり拒否したりすることはほとんどありません。
  • カウンセラーは、クライエントの発言や表情、動作などを通して、自分自身が気づいていない心の奥深い部分についても理解しようとします。
    また、クライエントが知らない自分について気づくことができるようにサポートします。

カウンセリングと普通の相談の違いは、相談する相手が専門家であること、クライエントの発言や行動も基本的に受けとめてくれる、契約にもとづいた相談関係であることです。

カウンセラーが悩みや問題を解決する方法とは

カウンセリングでは、問題を解決するための唯一の正解は存在しないと考えられています。
カウンセラーは、クライエントに寄り添って、専門家の視点から問題に向き合います。
そこで、クライエントにとってよりよい対応の仕方を、一緒になってみつけます。

カウンセラーは、助言はしますが、直接指示したり教えたりすることはめったにありません。
クライエント自身が、決定し行動することによって本当に解決することに繋がります。

カウンセリングの目的

カウンセリングを受けることによって心身ともに今よりも楽になり、人生を前向きに生きる自信がもてるようになることが、カウンセリングの目的だと思います。
具体的には、カウンセリングを受けることでポジティブな変化が生まれることが目標です。

  1. 固定観念から抜け出せる
    「自分はこうでないとならない」「自分はこうあるべきだ」などといった信念にしばられることなく、自分に欠点や悩みがあっても、あるがまま受け入れるようになる。
    また、他人の欠点やイヤなところに対しても、思いやりをもって接することができるようになる。
  2. ものごとをポジティブに考えられるようになる 
    物事をポジティブに考えられるようになる。
    自分や他人を信頼できるようになり、将来の不安がやわらぐ。
  3. 自分への信頼感や自信がもてる
    自分のありのままの思考や感情、行動を大切にする。
    自分を信頼し、やればできるという自信がもてるようになる。
  4. 自分への価値観を大切にして行動ができる
    自分自身の判断を大切にし、他人の言動に惑わされないようになる。
    「自分はどう考えるか」という価値観によって行動ができるようになる。
  5. 苦しみや悩みに対応できる力がつく
    悩みや問題を抱えているのは自分だけでないことに気づき、悩みに対応する力がつく。
  6. 冷静に現実を見つめ、ふさわしい行動ができるようになる
    まわりの評価に振り回されることなく、事実や自分の経験を重視するようになり、現実的な行動がとれるようになる。

子どもや不登校、ひきこもりへのカウンセリングはできるの?

子どもがクライエントの場合は、「プレイセラピー(遊戯療法)」「絵画療法」「箱庭療法」など、言葉を使わないでカウンセリングができる方法があります。

不登校やひきこもりのクライエントの中には、自宅を出て相談室まで来ることができない場合もあります。
そういったときは、カウンセラーがクライエントの自宅まで行き、「訪問面接」のかたちでカウンセリングをすることもできます。

なお、このようなクライエントに対しては、母親か父親、あるいは両親がそろって同時にカウンセリングを受けることをおすすめします。
カウンセリングに親と子が同席する「親子面接」や、子どもとは別のカウンセラーが保護者のカウンセリングをおこなう「親子平行面接」がおこなわれます。
子どもだけの問題ではないので両親といった家族の協力が必要です。

カウンセリングを受けることは精神的におかしいと思われませんか?

カウンセリングを受ける人は、「精神的に弱いおかしい人」というイメージが、いまだにあると思います。
これは、カウンセリングについてよく知らない人の偏見であるといえます。

現代のストレス社会では、カウンセリングを必要としている人たちは増えています。
カウンセリングは、特別なものではなく普通に受ける時代になっています。
もともとカウンセリングは、心の問題の悪化を予防するためにあるものです。
カウンセリングを必要としている人は、悩みや問題をかかえていても、おかしいことはありません。

でも、まわりの人からの目が気になるかと思います。
ここで「自分は自分」と考えることができると、新たな一歩を踏み出すことができます。
もし、偏見にしばられているのなら、カウンセリングを受けてみて、カウンセリングの価値を知ってみてはいかがでしょうか。

カウンセリングを受けたいと思ったら

カウンセリングを受けるのが良いとわかっても、そもそも受ける必要があるのか、受けるのが怖い、秘密を守ってくれるのかなど思うことはあると思います。
カウンセリング受けるのあたって知っておきたいことを紹介します。

カウンセリングを受けるかどうかの判断

基本的には、自分自身で判断することが良いです。
悩みや問題をかかえてがんばってきたけど、自分のがんばりだけでは解決できないや家族や友人に頼ってみたものの不安な気持ちが消えないときに、カウンセリングを受ける受ける判断をするのが良いと思います。

カウンセリングを受けることを必要以上に深刻に考えることはありません。
専門家の意見を参考程度に聞く気持ちでいいのです。
もし、カウンセリングがあなたにとって役に立たないと感じたら、いつでも断れます。
勇気をもって決断されることをおすすめします。

カウンセリングを受ける前にすることはあるの?

なぜカウンセリングを受けたいのかについて自分なりに確認をしてみましょう。
「自分がかかえている問題はなにか」「カウンセリングになにを期待しているのか」の話しができると、カウンセリングの時間を有効に使えます。

うまく話せなくていいので、自分の言葉でカウンセラーに伝えましょう。
こんなことを言ってはダメだとか恥ずかしいからといって、あえて言わないようにすると、カウンセリングの効果が出ませんので、ありのままの自分でカウンセリングに臨みましょう。
カウンセラーはあなたをしっかり受けとめてくれます。

カウンセリングはどこで受けられるの?

カウンセリングを受けたい相談内容別に、カウンセリング機関をあげますので、参考にしてください。

心理・教育カウンセリング機関

幼い子どもから成人まで、心理的、教育的問題へのカウンセリングをおこなっている相談機関です。

  • 全国の都道府県・市町村教育委員会所属の「教育相談センター」「教育センター」「教育研修所」「悩み相談センター」など
  • 保育園(所)、幼稚園、学校、大学の「(保育・幼児)相談室」「教育相談室」「カウンセリング・ルーム」「保健室」「学生相談室」「保険管理センター」など
  • 大学付属の「心理教育相談室(センター)」「臨床心理センター」「心理臨床センター」など
  • 全国都道府県・市町村の「児童相談所」「子どもセンター」など
  • 民間の「カウンセリング・ルーム(センター)」「心の相談室」「教育相談室」「悩み相談室(センター)」など

医療・治療カウンセリング機関

幼い子どもから成人まで、うつ症状やその他の精神的疾患などの予防と治療、アフターケアのためのカウンセリングをおこなっている機関です。

  • 全国の都道府県立精神(福祉)センターや保健所の「精神衛生相談室」など
  • 国立私立病院、診療所、医院、クリニック等の「精神科」「心療内科」「小児科」「外来」「病棟」など
  • 企業等の「医務室」「保健室」など
  • 民間の「メンタルヘルス・クリニック(サービス)」など

家族問題のカウンセリング機関

家族問題を特定したカウンセリング機関は、公共の相談機関としては精神保健福祉センターや児童相談所(子どもセンター)があります。
民間の相談機関には「カウンセリングセンター」「家族療法(カウンセリング)研究所」などがあります。

期間や回数はどのくらい?

悩みや問題の深刻度にもよりますが、通常は15回以内の面談で終結することが望まれています。
週1回あるいは2~3週間に1回のペースで、6か月以内に終了します。
ただし、問題が深刻な場合は、半年以上の期間がかかり、回数も多くなります。

最近は、1回だけの面談で終了するカウンセリングが注目されています。
電話カウンセリングは、1回の相談で終わるものもあり、利用する人も増えています。

料金はいくら?

金額は、カウンセラーや相談機関によって違います。

国公立の公共の相談機関や病院では、無料か、健康保険が適用されますので高額にはなりません。

大学付属の相談機関や民間のカウンセリング機関では、1回の面談料金は2,000円から10,000円の範囲です。

ここで注意があります。
高額のカウンセリング料金を支払えば質の高いカウンセリングが受けられるかというと、必ずしもそうではありません。
金額だけでカウンセリングの内容のよしあしは決まるものではありません。

カウンセリングの予約は必要?

カウンセリングの受けるには予約が必要です。
相談機関への連絡方法(電話番号やメールアドレス)を調べましょう。
調べた連絡先に事前に連絡をいれて予約してカウンセリングが受けることができます。

カウンセリング機関への問い合わせについて

最初に、自分が相談したい問題を手短に伝え、カウンセリングをしてもらえるかどうか尋ねましょう。
相談内容によっては、そのカウンセリング機関の専門でないために引き受けてもらえないことがあります。

次に、カウンセリングの予約をしたいことを伝え、可能であれば初回面談を申し込みます。
このとき、次のことを確認しておくとよいでしょう。

①初回面談の日時
②受付と場所(カウンセリングルームないし相談室)
③カウンセリング面談料金と支払い方法
④その他(初回面談時に持参するものなど)

クライエントの人権や個人情報は守られるの?

カウンセリングは、クライエントのためにあるものです。
クライエントの利益が一番に優先されます。
つまり、あなたの人権や個人情報は守られます。

カウンセラーには、「倫理基準」を守ることが義務づけられています。
倫理基準とは、クライエントの個人情報や人権侵害に関するカウンセラーが守らなければならない指針のことです。

このように倫理基準によってしっかり守られています。

カウンセリングが始まったら

予約した時間の10分くらい前に、指定の場所へ到着するようにしましょう。
なんらかの事情で遅れるときは、連絡しましょう。

初回面談での流れについて

  1. あなたが今かかえている悩みや問題について、自分が感じているままカウンセラーに語り聴いてもらってください。
    うまく話す必要はありません。
    初対面で、緊張してしまったり、涙がでたり、うまく話せないことはよくあります。
    カウンセラーは、あなたの気持ちを十分に理解して、受け止めてくれますので安心して話せます。
  2. 自分の問題について話し、カウンセラーに聴いてもらった段階で、カウンセラーがその問題についてどのように感じているのか、カウンセリングの援助が可能なのかどうかを尋ねてみてください。
    また、これからどのようにカウンセリングを進める予定かも尋ねてみてください。
  3. どのくらい期間(回数)カウンセリングを受ける必要があるのかを尋ねてみてください。
    自分の希望や予定を伝え、カウンセラーと相談して決めていきましょう。
  4. カウンセリングの時間が終わりに近づいた頃に、あなたの感じたこと、感想を正直にカウンセラーに伝えてみましょう。
  5. 次回からもカウンセリングを受けようと思った場合には、次回のことについて確認をしましょう。
    ①次回の面談の日時について
    ②1回ごとの料金と支払いについて
    ③緊急時の連絡方法について
  6. 最期に、これからのカウンセリングを続けて受けるにあたって、必要なことや注意することことがあれば教えてもらうようにしましょう。

カウンセリングはクライエントのものです。
初回で終了することを希望できますので、カウンセラーに気をつかうのでなく、自分にとって有効であるかを考えて判断してください。

カウンセラーを探す

相談やカウンセリングを受けたい、カウンセラーを探すのに参考にしてください。

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス

一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

カウンセラー検索ナビ

参考文献
「カウンセリングを受けたいと思ったらQ&A」