記憶と学習、刺激と反応の仕組み「古典的条件づけ」と「オペラント条件づけ」

pcnote心理学

人は生きていると、さまざまなことを記憶して、学習していきます。
たとえば、試験があるので、頑張って勉強したら良い点取れたので、続けて頑張って勉強するようになったり、自分の好きなタレントが出ているCMを繰り返しみていると、CMの商品の印象が良くなることはありませんか。

私たちの記憶と学習は、刺激と反応の仕組み「条件づけ」で説明できると言われています。
「古典的条件づけ」と「オペラント条件づけ」を紹介します。

古典的条件づけとは

古典的条件づけは、ロシアの生理学者パブロフが始めて観察した仕組みだと言われています。
実験用の犬に毎日エサを与える係の男性がいました。
男性からエサをもらった犬はエサを口に入れると、口から唾液が出ます。
これを何回も経験していると、いつもエサをくれる男性の足音がしただけなのに、エサはまだ口に入れてなくても、犬は口から唾液を出すようになりました。
これが、「古典的条件づけ」です。

犬のエサの場合は、エサを無条件刺激、エサに対して唾液を出すことを無条件反射、男性の足音を条件刺激、足音に対して唾液を出すことを条件反射と呼ばれています。

先ほどのCMの印象が良くなるたとえであれば、自分の好きなタレントは無条件刺激、タレントに対する好意は無条件反射、タレントが出ているCMで扱っている商品は条件刺激、CMの商品に対して好印象をもつことは条件反射ということになります。

古典的条件づけの場合は、無条件刺激と条件刺激を対呈示することを強化といいます。
強化が条件づけに重要な役割を果たしています。

【参考】
古典的条件づけの仕組みを利用して、アルコール依存症患者に、体に入ると吐き気を催すような物質を混ぜたアルコールを飲んでもらい、アルコールのにおいを嗅ぐだけで吐き気を催すようになり、アルコールを断つようにする嫌悪療法というものがあります。

オペラント条件づけとは

オペラント条件づけは、スキナーの実験を紹介します。

スキナーの実験は、箱にハトを入れてエサを食べる様子を観察しました。
ただし、エサは普通に与えるのではなくて、箱の中にあるキーにくちばしが触れると、キーの下にエサが出てくるようにしました。

実験の結果、何回かくちばしがキーに触れ、エサが出てくるという経験を積んでいるうちに、ハトは頻繁にキーをつつくようになりました。
これが「オペラント条件づけ」です。

ハトの実験の場合、エサが出ることを強化、エサは正の強化子ということになります。
先ほどのたとえで、頑張って勉強して試験で良い点だったので、続けて勉強するでいうと、試験で良い点をとることが強化、良い点が強化子ということになります。

オペラント条件づけにおける、強化子を与えるものとして、反応すべてに強化を与える連続強化と、部分的に強化を与える部分強化があります。
条件づけの後に、強化子が与えられなくなると、連続強化で条件づけられた場合には反応がすぐに起こらなくなるのに対し、部分強化ではなかなか反応が消えないという部分強化効果がみられます。

たとえば、くじです。
くじで当たったり当たらなかったりしていたが、くじが全く当たらなくなっても、今度こそ当たると思って買うのを止められなくなってしまうのが、部分強化効果です。

古典的条件づけとオペラント条件づけの違いは何だろう

古典的条件づけとオペラント条件づけの違いは、古典的条件づけでは、行動、反応に関わりなく条件刺激と無条件刺激が対になって呈示されるのに対して、オペラント条件づけでは、まず何らかの行動、反応があって、それに強化子が与えられます。
ここが違いです。

つまり、古典的条件づけでは、刺激から反応が誘発されるものです。
一方、オペラント条件づけでは、まず自発的に起こした行動、反応があり、その結果によって行動の頻度が変化するという点に違いがあると言えます。

まとめ

古典的条件づけとオペラント条件づけで、私たちの日常生活の現象を説明できることができます。
刺激を受けて行動したり、自分から行動を起こして反応をえるなんてことはあると思います。

子どもの教育で、勉強したらやテストで良い点を取れたら、ご褒美を与える方法があります。
勉強するとご褒美がもらえるのを繰り返すと強化になって子どもは勉強するでしょう。
私は成績を上げるには、良い方法だと思います。
しかし、ご褒美をもらうために勉強することになってしまわないかが心配です。
勉強は誰のため、何のためにするのかが抜けてしまうと、せっかく勉強したこと活かすことはできないと思います。
うまく条件づけをしていきたいものですね。

良い習慣は身につくと良いですが、悪い習慣は身についたらなかなか直すことはできないので、注意が必要です。

参考文献
「よくわかる心理学(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)」