悪い習慣を良い習慣にする認知行動療法とは

heart心理学

行動が習慣化していることはありませんか。
習慣の中には正や負があります。
そして、負に習慣化されたものを修正していくのが、認知行動療法です。
認知行動療法について紹介します。

人間の行動はどのように決まっていくのか?

習慣化の例でギャンブルがあります。
ギャンブルをしない人が、ギャンブルをするとします。
ギャンブルで外れることはあるものの、何回か当たるにつれて、だんだん当たりを期待してドキドキするようになり、興奮を感じます。
当たると興奮することがギャンブルを続ける原動力になり、ギャンブルにハマってしまうことになります。
ギャンブルの習慣化は、一般的に悪いとされていますが、人間の行動というのはこの例と似ているといわれています。

自分の好きなことを考えてみてください。
その行動をしたことで、気持ちよさが残り、それがまたしようという力になります。
それが自分で気づかないうちに何回も繰り返されて、習慣化されて、自分の好きな行動になっていませんか。

逆に嫌なことはどうでしょうか。
たとえば、小さな子どもが病院に行ったとします。
いきなり注射を打たれ、恐怖で泣き叫びました。
次に病院に行くと、注射を打たれ怖かったことを思い出し嫌がって泣きました。
怖がって嫌がることで、注射がうまくできずに何回も怖い体験をすることになりました。

このような感じで、負の体験を積み重ねることになり、注射は恐怖でしかないものと認識していくことになるかもしれません。

人間の行動の習慣化の仕組みから、行動や反応を修正していく治療法が行動療法と呼ばれています。

行動療法と認知療法

注射の例のように、それが恐怖となったトラウマ体験が原因としてはっきりしている場合はわかりやすいです。
しかし実際は、悩んでいる行動や反応の原因となる体験がはっきりとわかることは少ないです。

たとえば、何時間もかけて体を洗わないと不安でしかたがないという自分の強迫的な行動に悩んでいる人がいるとします。
その人は、その行動が始まった原因らしい出来事をいくつか話してくれたとします。
しかし、それが本当の原因かはわかりません。
むしろ、幼いころから少しずつ思考や行動の負の習慣化が積み重なって、それがある時期に強迫的な行動という形になって現れたと考えることができます。

行動療法では、原因を見つけるのではなくて、その行動や反応を少しずつ自然な正の行動や反応に修正していくことをめざしています。

問題となる負の習慣化は、行動だけとは限りません。
たとえば、自分に向けられる否定的な言葉で自信を失ったり、怒ったり、自分なんか存在している価値がないまで感じる人がいるとします。

これは「認知」の負の習慣化の例です。

おそらく、人間関係で負の習慣化を積み重ねてきたと考えられます。
人が自分を批判してくることは、認めてもらえてないから自分には価値がないと認知しているとしたら、批判する人は自分を認めていないことになるのか、認知していることについて修正していくと、考えを改善できるといわれています。

認知の負の習慣化を正の認知へと修正していく治療法が認知療法です。

行動療法と認知療法を合わせて認知行動療法と呼ばれています。

認知

自分と関係する人が、自分に向って言う言葉や自分がそのなかで生きている人間関係を、理解する仕方のこと。

認知行動療法の歴史と人物

1950年代、さまざまな研究者たちが、自然科学の概念に基づきクライエントの行動を修正する治療法を実践していました。

1959年、アイゼンク(Eysenck,H.J.)は、それらの治療法を集め、ひとつの治療法の概念としてまとめることを提案し、集められた治療法を統一して行動療法と名付けました。

これが行動療法の始まりです。

アイゼンクのほか、ウォルピ(Wolpe,J.)、スキナー(Skinner,B.F.)、バンデューラ(Bandura,A.)ベック(Beck,A.T)らが、今日の認知行動療法の基礎となる考えと方法を築きました。

認知行動療法は、医学と同様に自然科学を基礎に置いています。
たとえば、体によくない姿勢でひざを使っていて、ひざに問題がでているのであれば、体によい姿勢で生活するようにひざの使い方を修正するというのは、納得できる理にかなった方法です。

認知行動療法は、概念的には医学と同じ方法なので理にかなっていて、納得が得られやすいのが特徴です。
アメリカでは、この納得の得られやすさが受け入れられ、認知行動療法はアメリカで広く受け入れられています。

まとめ

自分の習慣となっている行動を変えることは難しいことです。
たとえば、たばこを吸うことを習慣になっていると、たばこを吸うことをやめることが難しいといわれていますし、想像できると思います。

ひとりでは難しくてできないことも、誰か支えになってくれる人がいれば変えることは可能になります。

認知行動療法は、心理療法として有効な方法です。
専門にしているカウンセラーなどの元でしっかり受ければ、習慣になっている行動は変えることができます。
認知行動療法を知っておいて損はないと思いましたので紹介しました。

参考文献
「よくわかる心理臨床」

「認知行動カウンセリング」