子どもへの虐待のニュースで見かけることあると思いますが、決して珍しいことではありません。
乳幼児期から子ども時代にかけて、親やそれに代わる人たちからの愛情やケアが必要です。
そんな時期に、虐待されると、子どもたちの心身にさまざまな影響を及ぼします。
子どもたちへの虐待について考えてみましょう。
虐待の定義
児童虐待防止法により、
1)身体的虐待:児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれがある暴行を加えること。
2)性的虐待:児童にわいせつな行為をする、または児童にわいせつな行為をさせること。
3)ネグレクト:児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、長時間の放置、その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
4)心理的虐待:児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
と分類化されていますが、実際はいくつか合わさって生じていることが少なくありません。
児童相談所での相談件数

平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)

平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)

平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)
厚生労働省の平成30年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数(速報値)を見てみると、件数は159,850件で、前年度より26,072件増え、過去最多を更新しました。
対応件数の内訳は、
心理的虐待88,389 (55.3%)
身体的虐待40,256 (25.2%)
ネグレクト29,474 (18.4%)
性的虐待1,731 (1.1%)
となっています。
相談対応経路別件数は、件数が多い順に、
警察等79,150(50%)
近隣・知人21,440(13%)
その他18,138(11%)
学校等11,449(7%)
家族11,178(7%)
となっています。
相談対応件数の主な増加理由は、心理的虐待に係る相談対応件数の増加、警察等からの通告の増加があげられます。
この件数は、相談件数なので、相談されていない虐待もあると考えられるので、実際の虐待はもっと数が多いとみられます。
虐待の影響
虐待の悪影響として、外傷や窒息などにより生命が奪われることもあれば、栄養不足はもちろん愛情不足による低身長や低体重などの発育不全、運動協応性や身体バランス・感覚感受性などの鈍さ、不衛生や治療の怠慢などによる疾患の重度化や慢性化、精神的ストレスによる免疫機能の低下、自律神経系の不調、脳機能の障害やそれらに由来する精神疾患などが引き起こされたりします。
実際は症状が絡み合って生じることから問題が複雑化し、理解や援助がますます困難になります。
特に、性的虐待は事実が表面化されにくいため、統合失調症や発達障害、うつ病などと誤診されることもあります。
子どもたちへの援助
虐待の傷跡は深刻なものになりやすいために、虐待の発生予防、早期発見から、親への介入、子どもの心理的援助や自立支援に至るまで、複数の専門家や関係諸機関が連携・協働し、積極的に介入・援助を行うことが必要です。
子どもの心理的援助で大切なことは、
1)安心できる環境の提供
2)自己評価を高める
3)自己感情の表現の促進と破壊的な行動の制限
4)自己の連続性の保証
5)必要時に助けを求められる心理的能力の付与
6)虐待体験を含めた自己の記憶の再統合
などがあげられます。
安心できる環境の中で、新たなよい体験や記憶を積み重ねることで、過去の苦しい記憶が、ある程度は自分の人生に再統合されることや、フラッシュバックなどPTSDの精神症状は、薬物や漢方などでコントロールされうることが示されつつあります。
まとめ
虐待は、さまざまな原因が絡み合って起こります。
相談しづらいことではありますが、自分1人の力では解決できません。
相談できる人の協力が必要になってきます。
課題になってくるのが、安心して相談できる場所、人がそばにいるかです。
周りがもっと介入できる仕組みが必要だと思います。
虐待から子どもたちを守る取り組みはされていますが、まだまだ必要にしている子どもたちに手が届かないのが現状だと思います。
今後、不幸な虐待を生まないためにも、私たちでできることを考えてみませんか。
実際に虐待にあった、被害者の声があります。
赤城高原ホスピタルのホームページに、虐待被害者の声としてあがっています。
虐待を受けた(かもしれない)方は、このページを読むと、フラッシュバックを起こしたり、情緒不安定になったり、パニックになったりする可能性があります。
刺激が強すぎるかもしれないと思う方は、読まないようにお願いします。
赤城高原ホスピタルのホームページはこちらアクセスできます。
また、こちら赤城高原ホスピタル虐待被害者の声で虐待被害者の声にアクセスできます。
参考文献
「よくわかる心理学(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)」