いじめの定義とどのようにして対策をしていくのか

nayamiキャリア

いじめはダメだと言われ続けていますが、なくなりません。
学校でいじめに対する取り組みをしているはずなのに・・・
いじめの報告は減るどころか増えています。
いじめられる子、いじめる子、直接いじめに関わっていないけど周りにいる子に対して大人が何ができるのでしょうか。
いじめについて考えてみたいと思います。

いじめとは

いじめの定義について、文部科学省はこのように定義しています。

【平成18年度からの定義】
本調査において、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形 式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。 「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理 的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とする。(※)

なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

・「一方的に」「継続的に」「深刻な」といった文言を削除
・「いじめられた児童生徒の立場に立って」「一定の人間関係のある者」「攻撃」 等について、注釈を追加

※ いじめ防止対策推進法の施行に伴い、平成25年度から以下のとおり定義されている。
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な 影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察 に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生 じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。
これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である。

出典 文部科学省 いじめの問題に対する施策 いじめの定義 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302904.htm

いじめは犯罪で警察に相談、連携するものだと考えられています。

いじめの認知件数について、平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要によると、2006年度の全国の小・中・高・特殊教育諸学校におけるいじめの認知件数は、124,898件だったのが、2018年度では、543,933件と増えています。

いじめが増えたと考えられますが、いじめが表にでて認知されるようになったとも考えられます。
だが、報告されているいじめの件数が、実際に起きているいじめの実数ではなく、その背後に数多くのいじめ被害が潜在化している可能性があるとしています。

なかなかいじめの実態がつかめない状況となっていますが、たくさんの子どもたちが、悩み、苦しんでいるのは事実です。

いじめを防ぐための取り組み

いじめを防ぐための学校としての取り組みどのようなものがあるでしょうか。

学校危機としてのいじめ

いじめは暴力であり、人権侵害にあたります。
近年は、いじめは学校危機の一つとされ、学校全体での介入や対応が必要な緊急事態であるととらえられています。
いじめの予防や早期発見、迅速な対応と再発防止など幅広い観点から取り組みが必要です。

私が思うのは、いじめが起きたときは、学校を守るのでなく、教師も保身に走らずに、子どもたちに目を向けて、子どもたちを守ることが求められていると思います。

リスク・マネジメントとしてのいじめ予防

いじめをどの学校でも起こりうるものと認識し、積極的な予防策や対応計画を立てておくことで、いじめのリスクを軽減させることを、リスク・マネジメントといいます。

アメリカの暴力防止マニュアルでは、教員が校内で死角となる場所をチェックし、いじめが起きやすいトイレは教員も共有するなど具体的な環境整備のポイントが記されています。

重要なことは、教師が子どもを監視することではなく、日ごろから教師と子どもがコミュニケーションを図ることであり、普段からの信頼関係がいじめを防ぐ最大の砦になることです。

クライシス・マネジメントとしてのいじめ対応

いじめという危機が起きたあとのクライシス・マネジメントでは、複数の関係者から状況の確認を行い事実を把握したうえで、被害者と加害者の気持ちをよく聴きます。
学級全体でいじめや暴力、人権に対する学習を行い、対人関係能力を育成するような取り組みを行います。

加害行為を繰り返す生徒に対して、罰則を講じるべきという意見もありますが、罰則で解決する方法は私はあまり好ましい方法とは思いません。
罰則があるから、いじめはしないという考えになってしまう可能性があるからです。

また、日ごろから生徒の居場所づくりや相談場所など、学校外でも支援できる体制が整うことが今後の課題だと思います。

まとめ

いじめは本当に難しい問題です。
いじめられている子は、助けてほしいけど、知られたくないなど複雑な感情があると思います。
いじめがわかったといっていじめている子を叱れば解決できるとは限らないですし、見当違いなことをすれば、ひどくなる場合があります。

いじめられている子、いじめている子、その周りの子たちが、これからどうすればみんなが納得して学校生活を送れるのかを子ども達自身で答えを探していけるように、大人が手助けできるようにしていければと私は思います。

参考文献
「よくわかる心理学(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)」