今はハラスメントに関して認識されるようになり、無神経な発言や行動はしてはならないようになってきました。
だからこそ、上司から部下と話すのに心がけてほしいことがあります。
仕事はお互いの信頼関係がないとうまくいきません。
部下との信頼関係を築いていく方法を紹介します。
部下と面談するときの準備
企業によっては定期的に、業務上の目標や成果、現在の課題などのついて上司が部下と面談を行うところがあります。
定期的でなくても、「欠勤が多い」「ようすがおかしい」などの理由で面談をすることもあるでしょう。
面談するときに、上司が気をつけたいポイントをあげます。
- 面談の前に必要な情報を調べておく
業務の成績や進捗情報のほか、本日の日ごろのようすなど必要に応じてチェックしておきます。
上司が部下を日ごろからよく観察しておくことが大切です。
ただし、部下に説教をする材料ではなく、面談で適切な質問をして本人の考えを話してもらうための情報です。 - 人のいない落ち着いた場所を設定する
他の人に話が聞こえてしまう場所は避け、落ち着いて話ができる時間と場所を選びます。 - 面談の目的を明確に伝える
定期的な面談でない場合は、突然上司に呼び出されると、部下は叱られるのではないかなどと不安になってしまいます。
なぜ呼ばれたのか、その内容や目的が明らかでないと人は不安になり防衛的になるものです。
余計な緊張をさせず、また話す内容が面談の趣旨に沿ったものになるよう、あらかじめ面談の目的を明確に伝えておくようにしましょう。
面談は部下の話を聴いて信頼関係を築くチャンスです。
しかし、面談時間のほとんどを上司が話しているというケースがよくあります。
良いアドバイスをしようと気負いがちですが、大事なのは部下が課題や解決方法に気づくとようなサポートをすることです。
そのためには、上司は部下の話にしっかり耳を傾け、部下自信が気づくまでじっと待つことが必要です。
たとえ良いアドバイスが浮かんでも、すぐに口にしない我慢が必要です。
人は一方的に押し付けられたことに対しては、意欲・やる気がわいてきません。
人は自ら考え、気づいたことには、強いモチベーションを持って実行に移します。
部下のやる気をうまく育てることが、上司に求められています。
部下からミスの報告を受けるとき
「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)は、仕事を行っていくために必要な要素です。
とくに、ミスやトラブルなどの「悪い報告」は適切な対応策をとるためにも、すみやかに、ありのまま、正確に報告してもらう必要があります。
上司としては、なんでそんなことになったのか、なぜもっと早く報告しないのかと言って叱りつけたくなるかもしれません。
しかし、一方的な叱責は部下を委縮させて、悪い報告を隠そうとさせるだけです。
悪い報告を知って内心ではどんなに驚いたり頭に血がのぼったりしても、冷静に「何があったか詳しく教えてくれるかな」と対応しましょう。
上司が途中で口をはさまず冷静に話を聴く態度を見せれば、部下も安心して、ありのままを話すことができます。
詳細を聴く質問も気をつかいところです。
「どうしてこうなったんだ」というような部下を責めるものではなく、「ではどうしたらいいかな?」といった、ミスやトラブルをフォローして解決する方法を考えるや再発防止のヒントを探すといった具合に聴いてみましょう。
上司と部下で問題を一緒に解決することを考えることで信頼関係ができ、悪い報告も相談してくれるようになります。
無口な部下とのコミュニケーション
上司が思っている以上に部下は上司に話しかけづらいんです。
話をすることが苦手な部下であればなおさらです。
部下とのコミュニケーションができないと仕事に支障がでる場合があります。
部下とのコミュニケーションがうまくいっていないと感じたときは、話しやすい雰囲気づくりが必要です。
部下から気軽に話してほしいなら、自分から話しかけるのもひとつの方法です。
「おはよう」「お疲れさま」といったあいさつを上下関係にこだわることなく自分から積極的に、にこやかに行いましょう。
そして、日ごろから周囲の人を観察して、「最近、調子はどうかな?」などと声をかけて、あなたに関心がありますということを態度で示しましょう。
話をするときは、おだやかな表情で相手を見ながら話を聴くようにしてくださいね。
部下に忙しいときに話しかけられたときは、中途半端に聞き流すのではなく、「ちょっと今忙しいから手短に話せる?」「急ぎでないならあとでしっくり聴くよ」といった提案をして、じっくり話を聴く場を作るといいでしょう。
上下関係を気にせず自分から声をかけることで、話をしやすい環境をつくることが無口な部下とのコミュニケーションをうまくするコツです。
部下との関わりで気をつけること
上司と部下は、心理学では「垂直的交換関係」であるといわれています。
垂直的は上下関係のことで、交換関係は、モノや情報をやりとりすることで成り立つ関わりのことをいいます。
一方、友人同士のような見返りを求めず相手のことを思いやる関係を「共同関係」といいます。
「交換関係」という通り、上司と部下は、「やる気をうながすメッセージ」や「期待に応える応答」をお互いにやりとりしながら職場という組織を機能させています。
たとえ上下関係にあったとしても、部下は一方的に上司に尽くす存在でないのです。
部下との会話でコミュニケーションをする際は意識しておきたいです。
上司は普段から話を聴ける関係性をつくることができれば、部下とのコミュニケーションエラーがなくなり、良い仕事ができる環境になります。
参考文献
「人間関係がよくなる誰からも信頼される聴く技術」株式会社ナツメ社