第5回ありのままの自分で生きる方法は、悩みをひとりで抱え込まないです。
あなたは悩みがあるときどうしていますか?
ひとりで悩んでいますか、誰かに相談していますか。
どんなに優秀な人であっても、悩みをひとりで抱え込むには限界があります。
悩みを相談することで、ありのままの自分で生きるヒントを紹介します。
悩みをひとりで抱え込まないで
何かに悩み、ふさぎこんでいると周りが見えなくなりがちです。
自分はこんなに苦しいのに、周りは幸せそうや楽しそうに見えることはないでしょうか。
または、自分に欠けている、自分にはないということがダメな人間であると考えることはないでしょうか。
たとえば、スリムな体形に憧れる女性について考えてみましょう。
実際には標準的な体系なのに「自分は太っている」と悩み、周りの人たちも多くが似たり寄ったりの体形であるのに、「自分だけ太っている」と思い込んでしまうのです。
他にも、仕事と家庭の両立に悩む女性、家庭内の不和で苦しむ男性なども同じような状態におちいっていることがあります。
「なぜ、他の人たちはうまくやっているのに自分だけができないのか」と考えてしまう場合です。
「自分だけ劣っている」「自分だけが変わっている」という思いは、大変つらく苦しいものです。
あなたと同じ悩みを抱えている人はたくさんいます
同じ悩みを持つ人がほかにもいるとわかると、それだけでも気が楽になります。
そして、どんなに楽しそうに生きている人でも、生きていくなかでさまざまな問題に悩んでいることを心得ておきましょう。
ただ、問題と向きあう姿勢、考え方、対処法が違っているのです。
他人の心の中や家庭の実情は外からはわかりません。
ある共働きの女性は、仕事と家庭を両立させている先輩に、あるとき「どうしたら、そんなふうにできるんですか」と聞いてみたそうです。
すると、先輩も自分と同じように、仕事と家庭のどちらかが手抜きになるのではないかという不安を抱えていることを知り、驚いたのと同時に安心したといいます。
それからは、いろいろ話すようになり以前のように気を張らずに毎日を過ごせるようになったということです。
信頼できる人、同じような境遇の人に打ち明けてみると、「じつは私も・・・」と返ってくることがあるでしょう。
他にも、新聞や雑誌の悩み相談を読んでみるのも、ひとつの方法です。
内容が自分の悩みと同じである必要はありません。
投書の相談を読んでみると、世の中には自分以外にも苦しんでいる人がいることがよくわかります。
そして、自分だけ苦しいのではないという気持ちになります。
悩みは人に話して「共有」しちゃいましょう
簡単に解決できそうにない悩みを抱えている場合は、同じ問題をもつ人たちがつくった会を探してみるのも良い方法です。
みんなで集まり、互いに助け合い、支え合うグループです。
たとえば、自分が長くつきあわなければならない病気であったり、家族が病気で倒れたりした場合、同じ境遇の人たちが集まる会は大きな心の支えになるでしょう。
もちろん、同じ病気といっても、生活環境や病気の状態が違うのは当然のことです。
それでも、会の人たちが自分の経験や心に思っていることを話すのを聞いていれば、いろいろと参考になりますし、何より自分自身の話をすることで気持ちがラクになります。
あるAさんの話があります。
Aさんは婦人科系の疾患と診断され、手術を受けるかどうかで悩んでいました。
主治医と話してもなかなか答えがでません。
そのとき、家族に勧められて同じ病気を抱える女性たちの会に参加してみたところ、目の前の霧が晴れてゆく気がしたそうです。
手術への不安、手術後の生活についてなど、先が見えず苦しんでいたAさんにとって、いきいきと日々の様子を語る参加者たちの姿は、かけがえのない励みとなったのです。
いろいろな人の体験を聞き、不安を打ち明けるうちに、この先を生きていく手がかりを得られました。
強い不安感は心身に悪影響を与えてしまいます。
仲間と話をすれば不安がやわらぎ、心が安定していれば体の調子を保ちやすくなるというメリットがあります。
生活の中で気をつけることや栄養面、運動のことなど、有益な情報や知識を得ることができます。
視野がグンと広がる交際
お同じ悩みをもつ仲間との交流は、さらなる一歩を踏み出すチャンスになります。
支えという役割を超えて、「新たな視野」をもつきっかけになることが多いです。
たとえば、人前で赤面してうまく話せないと悩む人が、対人恐怖症の人たちが集まる会に入ったとします。
すると、会の中では顔が赤くならずに、自然に話せることに気づくケースがあります。
赤面症というと、誰の前でも真っ赤になって話せなくなるように思いがちですが、同じ仲間にたいしては劣等感を感じることがなく、恥ずかしさもないので、緊張がなく支障なしに話せる場合が多いとのことです。
そのなかで、仲間たちから今まで思いもよらなかった考え方や視野を広げるような意見を聞けたりします。
「このままでは人生まっくらだ」と思い込んでいた人が、仲間の「赤くなるのは人格全体から見れば小さなことだ」という言葉を聞いたら、赤面症をあまり気にせずに生活できるきっかけになることでしょう。
ひとりで悩んでいて暗くなるより、誰かに、仲間が集まる会に話してみると勇気がわいてきます。
そして、悩みのおかげで交友関係が広がり、視野が広がり、人生を楽しく生きるきっかけにもなります。
あなたの未来は希望に満ちている
ただ、仲間がいれば成功するかというと、うまくいかないことが多いのも事実です。
長い間、苦しんできた対人恐怖症は、そう簡単に治るものではありません。
それでも、仲間がいれば前向きな方向へと気持ちを向けられます。
最初は、傷ついた心をなぐさめあうだけかもしれません。
そこから、事実を事実と受け入れて、これからをどうするといった未来に向けて考えられるようになっていきます。
こうしていけば、病気が治らないとしても、上手に付き合いながら、人生を賢く、楽しく生きていく姿勢が身についていくでしょう。
過去に起こったことは変えれませんが、未来はこれからです。
未来を明るくするか暗くするかはあなた次第です。
話をする場合は、話を聴くプロのカウンセラーもおすすめです。
悩みを聴くだけでなく、これからどう生きるかについて考えるきっかけを一緒になって見つけてくれます。
全5回にわたって「ありのままの自分で生きる方法」をお伝えしました。
ありのままの自分でいることができると、グンと生活がラクになります。
いつも頑張るのではなくて、時には力をぬくことができる「メリハリ」をつけて、人生を楽しみましょう。
参考文献
「楽しそうに生きている人の習慣術」河出書房新社