アンガーマネジメントとは?怒りをコントロールする方法

心理学

あなたの周りにすぐに怒ってしまう人はいませんか?
そして、あなた自身はどうでしょうか?
「怒り」をテーマに、アンガーマネジメントについて紹介します。

なぜ、いまアンガーマネジメントが必要なの?

こんな職場に心当たりありませんか?

いつもなんとなく社員がイライラしていたり、雰囲気がギスギスしているような職場ってありませんか?

チーム内に感情的な人がいて、周りにいつもその人に気をつかいながら仕事をしている現場に遭遇したことはないでしょうか?

このような職場は、「不機嫌な職場」と言えるでしょう。

パワハラ対策としてのアンガーマネジメント

不機嫌な職場ではどのようなことが起こると考えられますか?

感情的になってついカッと怒ってしまう方に心当たりありませんか?

パワハラは法的に規制されています。

パワハラに気をつけましょうと言われてどのようにすればいいのでしょうか?

怒りはどこかから来てどこへ向かうの?

怒りは自分が生み出した感情

怒りは、誰かのせい、出来事のせいで生まれる感情ではありません。

「あの人のせいでイライラする」

「部下がミスばかりするから、わたしはこんなに腹が立つ」

「上司が理不尽なことばかり言ってくるから、イライラする」

「取引先が何かとわたしに要求をしてくるので、そのたびにムカムカする」

など、仕事だけでなくプライベートの人間関係でも怒りを感じていませんか。

アンガーマネジメントでは、「怒りは自分が生み出した感情だ」考えます。自分以外の要因のせいにしたままでは、アンガーマネジメントはできません。自分が生み出した感情だからこそ、うまく扱うことができて、感情もコントロールできるのです。

怒りは周囲に伝染する

「情動伝達」という言葉があります。

感情には周囲に伝染する性質があるという意味です。感情には、怒りのほかにも、「嬉しい」「楽しい」「悲しい」といったものがあります。

たとえば、「一緒にいると楽しいです」と感情を素直に表現されるとどうでしょうか」?

怒りにも同じく伝染する性質があります。

たとえば、一緒に仕事をしている誰かがイライラしていると自分はどんな感情になりますか?

怒りは高いところから低いところへ連鎖する

高い低いは力関係を指しています。

職場に上下関係のことをイメージしていただくとわかりやすいと思います。

上から下へ、力があるほうからないほうへ、怒りは流れて連鎖する性質があります。

身近な存在ほど怒りが強くなる

身近な対象に対しては、怒りが強くなる性質があります。

たとえば、長く一緒に仕事をしている職場の人たちや、家族、親友、パートナーなどです。

なぜそんなことが起こるかというと、身近な対象に対しては、甘えが生まれやすいからです。

怒りは矛先を固定できない

いわゆる八つ当たりです。

怒りを感じた人、事以外に別の対象に怒りをぶつけることです。

たとえば、接客業の人に、仕事のストレスをぶつけて強い口調で文句を言ってしまう。

自覚なく行ってしまいますので、無自覚で周りの人や、反撃してこない相手に八つ当たりをしていないか、振り返ってみましょう。

生み出した怒りを自分に向けてしまうことも

自分に対して怒りをぶつける人もいます。

たとえば、結果を出せなかった自分が情けないや上司の期待や親の期待に沿えなかったときに、自分に対してのイライラをため込んでしまう場合があります。

怒りを建設的に使うこともできる

怒りがわくことは、かならずしもマイナスのことばかりではありません。

怒りはほかの感情よりもエネルギーが強いので、行動を起こすことにも使うことができます。本当にアンガーマネジメントができる人は、ムダに怒りに振り回されず、怒りを建設的な行動に向うパワーに変えられるのです。

怒りの構造を知ろう

怒りは人間にとって必要な感情

怒りは、わたしたち人間にとって自然にわいてくる感情です。嬉しい、楽しい、悲しいといった感情と同じくらい大切なものですし、怒ることは感情表現のひとつともいえます。

「怒るのはみっともない」「怒るのは悪いことだ」と思っているかもしれませんが、怒ることそのものが悪いことではなく、どう扱うか、どう表現するかのほうが重要です。

「コアビリーフ」が怒りを生む

怒りは自分が生み出した感情です。

なぜ怒りが生まれるのか。これには自分の「コアビリーフ」が関係しています。

コアビリーフとは、「自分にとって譲れない価値観、信条、信じているもの」と言い換えることができます。

では、コアビリーフを別の言葉で表すとしたら、どんなフレーズが適切でしょうか?

「べき」について知っておきたい3つのポイント

  • 「べき」に正解・不正解はない
  • 人にとって「程度」の度合いが違う
  • 時代や環境によって「べき」は変化する

怒りが生まれる3ステップ

第1段階 出来事との遭遇

第2段階 出来事の意味づけ

第3段階 怒りの感情の発生

他の誰かや、出来事がわたしを怒らせるのではなく、その出来事を自分のコアビリーフでどう意味づけたのか、それによって怒りが生まれるか否かが、人によって分かれるということなのです。

怒りの裏にはいくつもの感情が潜んでいる

怒りの裏側には不安・心配・悲しみ・虚しさなどがある。

怒りは第二次感情と言われています。

どういう意味かというと、怒りという感情の裏側には、一般的にネガティブと言われる感情が潜んでいるということです。

第一次感情には不安・心配・困惑・落胆・悲しさ・虚しさがあります。

アンガーマネジメントの実践

アンガーマネジメントの仕組みと分類

アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。

トレーニング方法は対処法体質改善という2つの分類があります。

対処法というのは、怒りにまかせて暴言を吐いたり、暴力的な行為をしないための取り組みです。

体質改善は長期にわたって取り組むことで、怒りにくくなるトレーニング法です。

対処法体質改善
・怒りにまかせて行動しないテクニック ・アンガーマネジメントでもっともやってはいけ ないのは怒りにまかせた衝動的な行動。それを しないための方法 ・イラっとした瞬間に有効・怒りにくくなるための長期定な取り組み ・許容範囲を広くし、心の器を大きくする ・長期にわたって継続して取り組むことにより効 果が出る

怒りに対処するテクニック ①対処法

・怒りを数値化する(スケールテクニック)

対処法として6秒間をやり過ごすがあります。

6秒というのは、怒りが生まれてから理性が働くのに、6秒間かかるといわれていいます。

この6秒間をやり過ごすのにスケールテクニックという取り組みがあります。

怒りを感じたら、その怒りが0~10の値のうち何点だったのかを頭のなかで数値化するという方法です。

10段階のレベルの設定は、自分の感覚で決めてかまいません。

たとえば次のような目安を、頭に置いてみましょう。

レベル0   怒りを感じない状態

レベル1~3 「まぁいいか」と流すことができる、軽い怒り

レベル4~6 平静を装ってもモヤモヤが残る、少し強い怒り

レベル7~9 カーッと憤りを感じる、かなり強い怒り

レベル10  最大限の怒り

それぞれの数値の場合に何をするかを決めておくことも大事です。
その場で対処しやすくなるメリットがありますので考えておきましょう。

・心を落ち着く言葉を言い聞かせる(コーピングマントラ)

怒りがわいたとき、その怒りに対処できるような心が落ち着く言葉やフレーズを頭のなかで思い浮かべたり、自分に言い聞かせるという方法です。

怒りを感じたときに心が落ち着く言葉であれば、どんなものでもかまいません。 

思い浮かべると落ち着く言葉を考えてみましょう。

言葉の例

  • たいしたことない
  • ドンマイ、ドンマイ
  • 大丈夫、大丈夫

・数を逆算する(カウントバック)

カウントバックとは、怒りを感じたとき、6秒間をやり過ごすために数を数える方法です。

「1・2・3・4・5・6」と数えてもいいのですが、多くの人は無意識にでも数えられてしまいます。怒りを感じながら数えられてしまうようでは意味がありません。

ちょっと考えて計算しないと数えられないような設定にしておくのがコツです。

たとえば、「100・97・94・・・」と3ずつ引いて頭の中で計算して6秒間やり過ごすのです。

自分で設定する数え方を考えて、怒りを感じたときに実践してみましょう。

・思考を止める(ストップシンキング)

ストップシンキングは、怒りを感じたときた瞬間に、自分で「ストップ」と言い聞かせることです。とても単純な方法ですが、これで怒りにまかせた行動をしないようになります。

怒りを感じた瞬間に、頭のなかに真っ白な用紙を思い浮かべて、頭のなかを真っ白にするというのもストップシンキングの方法の一つです。

ストップシンキングのコツは、怒りの原因や問題を分析せず、解決方法なども一切考えないことです。今、目の前に白い紙があるということだけをイメージします。

そうすることで思考回路が遮断され、出来事への「意味づけ」が止まります。「意味づけ」をしなければ、目の前のことは「ただの出来事」にすぎません。怒る理由はなくなります。

さらに目を閉じて、イライラした気持ちをゴミに変え、ゴミ箱に捨てるところを想像するのも有効です。想像するときは、ゴミ箱に投げ捨てたときの音までイメージしてみましょう。

・深呼吸をする

 怒りを感じたら、まず深呼吸してみるのも、とても有好的です。

 怒りを感じているときは、自律神経のなかの交感神経が優位になります。一方、深呼吸をすることのメリットは、副交感神経が優位になることです。そうすることで心が安定するという効果があります。

 深呼吸の目安は、1分間に4~6回。吸って吐くまでが10~15秒です。

・五感を使ってグランディングする

 怒りから意識をそらすテクニックです。

 やり方は、とにかく怒りがわいた瞬間に、自分が何か集中できそうなことを見つけてみるというものです。

 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を使って別のものに意識を集中することにより、怒りの気持ちがスーッと引いていきます。

・怒りを表すボキャブラリーを増やす

怒っている状態を表す言葉にはどのようなものがありますか?

怒りを表す言葉がワンパターンである人が意外と多いです。

怒りを表すボキャブラリーが少ないと、上手く表現できず、攻撃的な表現になってしまいやすいです。

ボキャブラリーが少ないと、表現がいつでも同じになってしまい、「本当は、自分は何をどれくらい感じているのか」が曖昧になります。

〈怒りを表現するボキャブラリーの例〉

腹が立つ、不機嫌になる、カッとなる、頭に血が上る、はらわたが煮えくり返る

怒りのボキャブラリーを広げて、表現を正確にすることによって自分の怒りを理解し、表現ができるようになります。

怒りに対処するテクニック ②体質改善

・怒りを記録する(アンガーログ)

 アンガーログとは、怒りを感じたときに、そのことを記録する習慣をつける取り組みです。

 次の4項目について書いていきます。

 ①日時

 ②場所

 ③どんな出来事があったのか、そのときに思ったこと

 ④怒りの数値(スケールテクニックを参照)

アンガーログの具体例

日時2月9日
場所職場で
出来事部下が提出してきた提案書に誤字脱字が数か所 顧客の企業名さえも間違えて記載
思ったこと提案書は提出する前に見直しするべき出だろう 顧客の名前は間違えるべきではない なぜ見直しをしないんだ
怒りの数値

ある程度続けていくと、自分の怒りのパターンが分かるようになってきます。

そして、書いている間は自分の怒りを俯瞰することにつながるので、怒りの渦中に身を置くこともなく、客観的に怒りと向き合えるようになるのです。

・「解決志向」で取り組む(ストレスログ)

世の中には、自分の思い通りにならないことが多々あります。そこでイライラしても何も解決しないばかりか、ますますストレスが大きくなるばかりです。アンガーマネジメントは、解決志向を基にしています。

ストレスログ

変えられるコントロール可能変えられないコントロール不可能
重要 すぐに取り組む ・いつまでに ・どの程度変われば気が済むか計画を立てて取り組む重要 「変えられない」 を受け入れる  現実的な選択肢を探す
重要でない 余力があるときに取り組む ・いつまでに ・どの程度変われば気が済むか計画を立てて取り組む重要でない 気にしない 放っておく 関わらない

ストレスログで整理してみましょう。

自分がいま怒りを感じている状況は、この表で言うとどこに当てはまるのか見極めていきます。自分が何か行動することで、この状況はコントロールできるのか・できないのか。そしてそれは自分にとって重要なのか・重要でないのか。この4つのうちどこに当てはまるのかを分類するのです。

・変えられること、変えられないことを分類してみる

コントロールできないと判断した場合、重要なのか・重要ではないのかを見極めます。重要でないと思うときは、手放さないといけない怒りです。ですから、これ以上は、気にしないようにしましょう。

コントロールできないけれど重要だと感じる場合は、とても悩ましいところなのですが、「変えられないという現実を受け入れたうえで、この状況にこれ以上の怒りを抱えないため、自分ができることは何なのかを考えてみるのです。

・解決志向で建設的な行動をする

自分がコントロールできないものに対し怒り続けていると、怒りが大きくなり、ストレスを抱え、結果的に何も解決しません。そのうえ、怒っているので冷静な判断もできず、周りの人にまで怒りが伝染してしまうのです。

自分が何か行動することでその状況を変えられるのであれば、怒ってばかりいないで、さっさと行動してしまったほうが建設的です。

悪循環を断ち切る(ブレイクパターン)

わたしたちには、無意識のうちに自分で繰り返しているパターンがあります。

それが良いパターンであればいいのですが、無意識にやっていることが、悪循環を招いてしまうような、悪いパターンもあるのです。

もし、自分の無意識の言動が原因で、相手を叩きのめしてしまったり、言いたいことが何も伝わらない状況になってしまっているのであれば、まずその無意識のパターンに気づくことから始める必要があります。

パターンを崩すことをブレイクパターンと言います。

事実と思い込みを見極める

自分のコアビリーフを書き出してみる

自分自身のコアビリーフである「べき」の思い込みと事実との見極めるのも、トレーニングのひとつです。

これには、まず、事実と思い込みを見極めるために、自分のコアビリーフを書き出す作業からしていきます。

アンガーログと同じように、「べきログ」といって、コアビリーフの記録をつける方法があるのです。

アンガーログを書いていくと、そこに関わる自分のコアビリーフがわかるので、アンガーログとセットでつけるのがおすすめです。

成功体験を記録しよう(サクセスログ)

サクセスログとは、小さなことでも成功体験を記録していく方法です。

成功体験以外にも、自分がいままでに頑張ってきたこと、できたこと、得意なこと、外見、内面問わずに書いていきましょう。

書き出すときに気をつけたいことは、誰かと比べないことです。

人間はそもそも完璧ではなく不完全な生き物です。それを認めたうえで、誰かと比べることのなく、まず自分のいいところにOKを出すところから始めてみましょう。

自己受容ができず、自尊感情が低い人が、自分の弱さを守るために攻撃的な怒りを誰かにぶつけてしまうというケースがあると言われています。

怒る・怒らないの境界線を明確にする

コアビリーフを振り返る方法

アンガーマネジメントは、怒る必要があることと、怒る必要がないことを見極め、線引きができるようになりましょうというものです。

そして怒る必要のあることに対しては、適切な怒り方ができるようにしていきます。

そのためにもコアビリーフである「べき」の境界線を明確にしましょう。

①が自分の「べき」と同じ、100%理想的な状態です。

②が自分と少し違うが許容範囲というものです。

③が「もう許容できない」「怒る必要がある」と判断する状況です。

図表「べき」の境界線を明確にする

許容範囲が狭いと、常に怒りっぽい分、自分が苦しくなってしまいます。ですから「せめてここまでだったらOKにするかな」という②のまぁ許せるゾーンの領域を設けていくことは、アンガーマネジメントのトレーニングではとても重要な考え方です。

怒りに巻き込まれたときの対処法

①他人の主観に惑わされず相手の感情と割り切る

相手の主観に惑わされない

自分にも「べき」があるように、相手にも「べき」があります。「こういうときには、普通こうするべきだ」「これが常識だ」「これが本来のやり方なんだ」という相手の主観や思い込みによる怒りをぶつけられた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

このようなとき、相手の「べき」の押し付けや怒りに惑わされて、売り言葉に買い言葉のように言い返してしまう人も多いようです。

まず、相手に言い返す場合は、怒りにまかせた行動をしないように気をつけましょう。

そのためには、相手が感情的に言ってきたときに、「いまこの人が言っていることは、この人の主観で判断した『べき』なんだ」と客観的に判断してほしいです。

相手の感情に巻き込まれない

相手が感情的になっているときは、「これは相手が生み出している感情なんだ」と俯瞰する能力も必要です。

俯瞰するポイントは相手が感情的になっているときに、そのまま怒りに飲み込まれるのではなく、深呼吸をしたりして、一拍おくことです。

一泊おいてから、相手の怒りを心のなかで実況中継してみるといいでしょう。

勘違いで怒られたときの対処法

「○○のことですが、○○ですよね」と一度受けとめます。そのあとに、「どうしてほしいのか」を伝えます。「言った」「聴いていない」の言い争いにならないよう、初めて聞いたということを論点にしつつ、今後のことに話を移しましょう。

卑屈な怒りを爆発させない

自分に自信がないことで、怒りが爆発しやすくなってしまう人もいます。

自分を守ろうとする怒りが働き、たとえば、部下を攻撃したり、部下を叩きつぶしてしまったりする人がいます。攻撃的なコミュニケーションをとる人は、決して心が強いわけではありません。

相手の感情をコントロールしようとしない

「怒っている人をどうにかしたい」という人は多いのではないでしょうか。

そもそも、怒っている人をどうにかすることはできません。怒っていることをやめさせるのは、相手の意見が伴うことです。怒っている人に「これ以上怒らないようにしてください」と言っても、相手が「そうだね。怒っているのはみんなに迷惑だよね」と自覚をしなければ、何も変わらないのです。

大切なのは、怒っている人に巻き込まれず、惑わされない自分でいることです。

怒っている人を「なんとかしよう」と思うと余計に自分が不毛な怒りの渦中に身を置くことになるので、ときには割り切ることも重要です。

②「スルー力」を鍛える

スルー力で怒りをやり過ごす

相手が何か怒りをぶつけてきたり、カチンとくるようなことを言ってきたときに、「いちいち対応していても意味がないな」と思うのであれば、まともに受けとめずに聞き流す力、スルー力も必要です。

スルー力を身につけるメリット

スルー力が身についたら、余計なことがいちいち気にならなくなり、イライラする機会が少なくなります。そのあとの相手とのコミュニケーションも、スムーズにやりとりしやすくなるでしょう。

イライラする回数が減るような生活をすること自体が、アンガーマネジメントにつながっています。

③過去の怒りに苛まれないために

過去に怒りを感じた出来事のなかには、時間の経過とともに忘れてしまうものもあれば、思い出すとふつふつと怒りがわいて、悶々としてしまうことはないでしょうか。

過去に抱いた怒りが自分を苦しめ、いつまでも悶々としている自分さえ嫌になってくる、ということは、決して珍しいことではありません。

ときには自分と相手を許すこと。許すことでラクになることもあります。

許すことは、許せない相手に負けることではありません。

大切なのは、自分がこれからの人生をしあわせに生きるための選択をすることなのです。

④怒りを持ち込ませない心をつくる

24時間アクトカーム

平常心で過ごすために、「24時間アクトカーム」というアンガーマネジメントのテクニックがあります。

名前の通り「穏やかな自分を演じよう」と決めて過ごすことを言います。

表情を穏やかにする

イライラしているときは、表情もかたくなり、顔もこわばります。そんなときは、口角を上げて作り笑いをするだけでも副交感神経の働きがアップして自律神経が整い、リラックスするのだそうです。

表情ひとつで、相手の反応は変わりますので、気がついたら自分の顔を見るようにして、自分の表情を定期的に確認してみるといいでしょう。

⑤怒りを「リクエスト」に変換する

感情的に愚痴や文句を言うと、相手は引いてしまいます。

いくら正論だったとしても、話に耳を傾けたくなくなるということが起こります。文句をぶつけられたと受け取ってしまうからです。

これでは、本当に言いたいことは相手には伝わりません。

リクエストの仕方のポイント

何か問題があってそれを言いたいとき、相手に不満を伝えること自体は、決して悪いことではありません。伝えたいときには、

「今後こうしてほしいです」

「現状はこうだから、本来ならこうしてほしいです」

というリクエストにして伝えた方が、相手が受けとめやすくなります。

指導の仕方・叱り方

①叱ることは悪いことでない

叱ることが悪いのではありません。叱り方が重要です。

②何のために叱るのか

相手に伝わるように表現する

何のために叱るかわかっていないと、注意を受けた側は「この人なんだか怒っている・・・」というくらいにしか受け取りません。

ただ怒っているという感情表現だけで終えるのではなく、「次からはこう改善してほしい」など相手に伝えていく必要があります。

相手の背景を知る

自分にとって大切で、事実なようなものでも、かならずしもそれが当たり前ではありません。自分にも、長年大切にしてきたものがあるように、相手にも、自身のコアビリーフを大切にしてきたという背景があります。だからこそ、自分とは違うコアビリーフにも耳を傾けるゆとりを持ち、話し合おうということです。

③叱る前に知っておきたいこと

怒ればなんとかなるという妄想を捨ててください。

怖いからとりあえず言うことを聞くけれど、長期的な目線でみたらどうでしょうか。

相手と信頼関係は築けるでしょうか。

④よい叱り方

相手が理解できる伝え方をしましょう。

叱り方には「どう言えばいいのだろう」という問題が、ずっとついてまわります。実際、最近はパワハラにならないように、どう関わっていいのかと悩まれる人が多いです。

叱るときに伝えなければいけないことは、「何について話しているか」と「どのようにしてほしいのか」という具体的な内容を盛り込むことです。また、相手が、「次からこうすればいいんだ」と理解でき、自発的な行動に移せるよう、相手が理解できる言葉を選んで伝えること、そして責めないことが大事です。

また、叱るときの主語は、「私」にしてみましょう。

つまり、「私は困っている」と伝えればよいのです。

「あなたがちゃんと伝えないから、こんなトラブルになったんじゃないか」と責めるのではなくて、別の言い方を考える方がお互いに建設的です。トラブルについて「私はどう感じているか」を伝えてみましょう。

たとえば、「私は、こんなトラブルの対応に追われ、やるべき仕事が進まなくて困っている。私は今すぐ話し合って、今できることを見つけたい」

こう伝えたうえで、相手がどう思っているかを聞き、解決方法を検討できるとベストです。

主語を「私」にすることで、「あなたが悪い」と責めなくなります。今本当に伝えたいことは、「私」がどう考えているか、どう感じているかであって、「あなた」がどうかではないのです。

「怒りの言葉は『私は~』ではじめる」とよいでしょう。